「命ある限り 戦争の残酷さを伝える」 元学徒「一中二〇会」が報告会


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 沖縄戦で犠牲になった沖縄県内の旧制師範学校・中等学校21校の学徒の人数計1984人を記した説明板が、3月に糸満市摩文仁の平和祈念公園に設置されたことを受け、県立第一中学校に在籍していた元学徒らでつくる「一中二〇会」は22日、那覇市内で報告会を開いた。同会の宮城政三郎会長(90)は「できて終わりではない。命ある限り、戦争の残酷さを伝えていく」と述べた。

「一中健児之塔」の前で手を合わせる與座章健さん(手前)と宮城政三郎さん(奥)=22日、那覇市首里金城町

 会では、犠牲となった一中生らを慰霊する那覇市首里金城町の「一中健児之塔」の前で献花した。鉄血勤皇隊生存者の與座章健さん(90)が「一中二〇会が中心となって元全学徒の会を結成し、平和擁護推進の立場から(県などに)陳情した結果だ」と経過を説明した。集まった元学徒ら約20人は校歌を斉唱し、亡き友らをしのんだ。

 県は2017年3月14日に平和祈念公園内に「全学徒隊の碑」を建立した。昭和高等女学校の吉川初枝さん(91)と上原はつ子さん(90)が県に要請して実現したものだった。

 ただ、碑には21校の名前などが刻まれているものの、犠牲者数には触れなかった。

 「沖縄戦の悲惨な実相を伝えるには犠牲者数の明記が必要」として、一中二〇会が21校の元学徒に呼び掛けた。18年4月に元全学徒の会を結成し、犠牲者数も記すよう県に求めていた。

 一中入学後に満州へ移って終戦を迎えたうるま市宮城島の根保清善さん(91)は「逃げたようで学友には申し訳なかった。これからも仲間のために祈っていきたい」と平和への思いを語った。
 (前森智香子)