入域観光客数の増加に伴い新たなホテルの建設ラッシュが起きている県内では、既存施設での設備投資も旺盛だ。休業して全面改装したり、建て替えを進めたりするホテルもある。建築単価が高騰する中でも工事に踏み切る背景には、リニューアルにより競争力をさらに高めようとする狙いがうかがえる。
「景気がいい今のタイミングはリスクもある。ただ、今やらないと今後戦えない」。今年、ホテルを全面改装し大規模リニューアルをするルネッサンスリゾートオキナワ(恩納村)の知花功総支配人はこう打ち明けた。全面改装は1988年7月の開業以来初。ロビーやレストラン、客室などを改装するため、2019年11月から20年2月までの4カ月間は全館で営業を休止する。改装後は海と太陽、自然をコンセプトにエンターテインメントビーチリゾートとして展開する計画だ。
県内では那覇空港第2滑走路が供用開始される20年3月をめどにホテルの新設が相次ぐ。入域観光客数が右肩上がりで増え続ける中、さらなる観光客増加が確実視されているためだ。ただ、ホテルが増えれば増えるほど、観光客が減少したり、供給過剰に陥ったりすると、これまでより一層競争は激しくなる。
ルネッサンスは見た目には開業から30年には思えないが、改装によって世界ブランドの進出が相次ぐ西海岸リゾートで競争力を維持する狙いがある。休業時はスタッフを他のホテルに派遣する計画で、スキルアップを図り、新装オープンに向けてソフト面も強化する。
ビジネスからラグジュアリー、レジャー向けなど多様なホテルが密集し、競争が激しい那覇市の国際通り。通り沿いにあるホテルパームロイヤルNAHAも積極的な設備投資を進めている。
パームロイヤルは昨年10月、睡眠とアートをコンセプトにした大浴場付き新館RAM(ロイヤル・アート・ミュージアム)タワーをオープンしたばかり。現在は敷地内の駐車場を取り壊し、屋外プールとプールサイドバーの新設を進めている。高倉直久総支配人は「国際通りにプールのあるホテルはない。既存のビジネスホテルを脱却し、高付加価値アーバンリゾートホテルを目指す」と強調した。
県内には17年末現在、ホテル・旅館のカテゴリーだけでも466軒存在する。どうすれば選ばれるか。既存施設も試行錯誤を重ねている。
(「熱島・沖縄経済」取材班・仲村良太)
(琉球新報 2019年1月31日掲載)