入域観光客数が世界的なリゾート地ハワイに迫り、観光地としての地位を築いてきた沖縄は高いリピーター率を背景に、別荘地としても注目されている。これらの状況を生かしたのがコンドホテル(分譲型ホテル)、ホテルコンドミニアムなどと呼ばれるシステムだ。ホテル客室をオーナーが所有し、利用しない場合は客室として運用できる投資の一つで、県内で増加している。
「これまでも同様の形式はあったが、カフーが安定したペイバック(賃料収入の還元)ができるブランドを築いた」。恩納村のカフーリゾートフチャクコンド・ホテルを運営するKPG HOTEL&RESORTの田中正男社長はコンドホテルが好調な理由をこう説明した。
同ホテルは全249室で2009年7月開業。16年4月にアネックス棟が開業し、全333室となった。恩納村のリゾートエリアながら高すぎない料金設定で開業10年が過ぎようとしているが、稼働率は83・3%と安定した集客を誇る。7月に読谷村で開業するラグジュアリーホテル「グランディスタイル沖縄読谷ホテル&リゾート」(54室)もコンドホテルだ。1室平均5千万円ほどが約3カ月で完売した。
客室を購入したオーナーは別荘として利用できるが、利用しない期間はホテルの客室として提供され、賃料のペイバックを得られる。管理費などの軽減も期待できる。利回りは5~6%になるという。
客室の販売を手掛ける東急リゾートによると、アネックス棟の販売以後、これまでにシギラリゾートの一部(宮古島市)、アラマハイナコンドホテル(本部町)、グランディスタイルを販売した。現在もリノベーションされたサンセットヒル(恩納村)を販売しており、日和オーシャンリゾート沖縄(同)も販売予定だ。相談案件も複数あり、今後も増える見込みだ。
東急リゾート受託開発部の安田昌教担当部長はコンドホテルが増える背景について「沖縄が通年のリゾートして認知され、ポテンシャルが期待されている」と語る。同社が2、3の両日に都内で開いたオーナー向けセミナーには予定を超える70組が参加。うち6割が沖縄の物件に興味を示していたという。
コンドホテルは運営会社も利点がある。アラマハイナを運営するのは名護市の前田産業ホテルズで、コンドホテルには新規参入となる。前田裕子社長は自社で所有する2ホテルに比べ、コンドホテルは初期投資が抑えられるため「所有にこだわる必要はない」と断言する。「コンドホテルはオーナーのために運用益を出さないといけない。いい緊張感でホテル運営に専念できると思う」と語る。旺盛な需要を生かし、ホテル運営会社も活路を見いだしている。
(「熱島・沖縄経済」取材班・仲村良太)
(琉球新報 2019年2月6日掲載)