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アパート建設ではなくホテル建設という選択 インバウンド需要、人口減少見据え 拡大、多様化するホテル(7) 〈熱島・沖縄経済〉11


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照正組の「ホテル建設による土地活用セミナー」=那覇市内

 右肩上がりで増え続ける観光客。旅行形態の多様化は建設会社などによる「土地活用」に変化を起こしており、アパートなどの建設からホテル建設を提案する時代を迎えている。ホテルは1室当たりの賃料がアパートよりも高く、事業収支は10年で2・5倍になるとも試算される。将来的な人口減少も予想されることから、宿泊需要が見込める立地ではホテルの方が利益を出すと見られているためだ。

 1月20日日曜の朝、那覇市内で「ホテル建設による土地活用セミナー」が開かれていた。主催したのは総合建設業の照正組。約35人が集まった。セミナーではりゅうぎん総合研究所が「県経済と観光の見通し」を紹介。その上でホテル運営会社の「ゲストハウスイン沖縄」が運営実績や事業モデルを説明した。

 ゲストハウスイン沖縄は2015年5月に設立。建物一棟を一括で借り上げ、家主に賃料を支払う形で、県内でアパートメントホテル3施設を運営している。フルサービスホテルではないものの、家具家電などをそろえており、長期滞在のインバウンド需要に特化した。スタッフ全員が複数の言語を話せるため、オンライン旅行会社(OTA)のサイトで高い評価を得ているという。昨年は春節やプロ野球キャンプがある2月がピークで、稼働率は100%に達した。

 外観はアパートやマンションのような見た目だが、民泊ではなく、簡易宿所として旅館営業の許可を得ており、通年の営業が可能だ。運営会社が家具を備え付け、清掃など管理も行うため、家主としてのメリットも大きい。同社の金井孟代表は「物件があればわれわれに任せてほしい。これから建てる場合は簡易宿所モデルが断然有利だ」と強調する。

 照正組がホテル建築による土地活用を勧めるのは、入域観光客数が順調に伸びる一方、将来的な人口減少で賃貸市場が縮小する可能性があると見るからだ。ホテルにすることで、設備投資や税負担が増えるものの、管理費などは減る。ホテルの利回りは10%に達し、アパートより高くなると試算している。ホテル運営業者が撤退した際のリスク回避として、アパートに転換できるよう“ハイブリッド”な仕様も提案している。同社営業2課の謝花剛矢さんは「立地が良ければホテル一本でいける」と可能性を示した。

 セミナーへの関心は高く、参加人数は1回目から倍増した。参加した男性(30)は与那原町のロードサイドで、所有する土地にあるテナントビルの建て替えを検討しているという。「きちんとした賃料をもらえればホテルもいい」と述べ、ホテル建設が選択肢の一つだと断言した。

(「熱島・沖縄経済」取材班・仲村良太)

(琉球新報 2019年2月7日掲載)