リゾート、シティー、宿泊特化型と各種主要ホテルの客室単価が伸び続け、不動産投資信託(Jリート)や外資系による所有など県内ホテルの価値が上昇する中、収益を見込んだ販売目的のホテル建設にも注目が集まっている。
2018年12月、九州に特化したJリートを手掛ける福岡リート投資法人が那覇市西のティサージホテル那覇を28億3500万円で取得した。中長期的、安定的な収益が確保できると見て不動産価値を評価した。同ホテルの完成は同年2月、開業は4月で、そこからわずか8カ月での売却だった。
ティサージホテルの開発を手掛けたのは不動産投資のビーロット(東京)だ。同社は7年ほど前から那覇市内でリサーチを開始した。同市内はホテルの予約が取りにくく、人口増加が続いていることから、4年前にホテルコンドミニアム2区画に投資した。稼働実績は堅調で、訪日観光客は増加していることから、同社は「不動産市場で沖縄の需要は高まることが確信となった」として、3年前に同ホテルの建設地の紹介を受けた。
同ホテルは那覇空港やモノレール旭橋駅、バスターミナルに近く、国際通りも徒歩でアクセス可能という好立地にある。所有した福岡リートは客室132室がツイン・ダブルルーム主体でレジャー需要も取り込めることや、運営会社ネストホテルの実績を考慮したほか、県内の高い宿泊需要も評価した。
ビーロットは「不動産の価値は収益に帰属している」としている。ホテルが高い稼働率を長期的に維持するために宿泊客のニーズを的確に把握し、立地や宿泊料金、言語対応など納得感のあるサービスの提供が必要で、時代の変化に柔軟に対応できる体制を考慮し「販売用不動産」として開発したという。需要を見通して整備に踏み切った格好だ。
県内ではリゾートホテルだけでなく、那覇市内で宿泊する旅行形態が増えており、ミッドプライスの宿泊特化型ホテルの需要は高い。延伸する沖縄都市モノレール駅周辺は特に高評価だ。不動産会社などが出資した特別目的会社(SPC)がホテルを開発し、証券化して売却する事例も増えている。
不動産関係者は「観光がまだまだ伸びる沖縄はバブルだ。それでも東京から見ればまだ安いとして高騰しかねない」と期待と不安を交錯させた。旺盛な観光需要を背景とした投資熱は今後も続きそうだ。
(「熱島・沖縄経済」取材班・仲村良太)
(琉球新報 2019年2月14日掲載)