【島人の目】基地問題解決の糸口


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 沖縄の米軍基地を本土へ引き取る運動をしている新潟県の左近幸村さんが、本紙4月17日付の「論壇」で、運動に携わる理由を「自分が住んでいる国の民主主義の在り方を問いたいからである。つまり、『自分のため』である」という主張をした。僕はその言葉の誠実さと真摯(しんし)さに心を打たれた。

 沖縄の苦悩に寄り添いたい、という美しい言葉と行動で辺野古移設にNOを突きつける本土国民の皆さんももちろん重要だが、左近さんのように冷静な目と知性で行動を起こす人々も尊い。

 名護市辺野古の新基地建設問題で最大のネックの一つは、沖縄県民以外の大半の日本国民の「無関心」にある。選挙や県民投票で繰り返し「辺野古移設NO」の民意が出ても、安倍政権が「安全保障は国の専権事項」とかえるの面に小便を決め込むのは、「国民の大半は沖縄の米軍基地問題に無関心」で、強引に物事を進めても沖縄以外の地域からは反発が起きないと考えているからだろう。

 安全保障は国の専権事項だが、国を構成している沖縄県がこれに異議を唱えているのだから、政府はいったん動きをやめて対処しなければならない。だが国はそうしようとしない。なぜか。やはり国民の大半が無関心だからだ。

 国民世論の大半が「辺野古移設はNO」と言わない限り、政府がそこに向けて動くことはないだろう。動機が何であれ一人でも多くの日本国民が、米軍基地は「安全保障に関わるゆえに自らの問題だ」と考えることが求められている。左近さんと仲間の皆さんは既にそれをやっているようだ。

 (仲宗根雅則、イタリア在、TVディレクター)