絵を通して伝える思い 絵本作り大好きな11歳 夢の世界が物語に!


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
自ら制作した絵本を手に取る山下剣人さん=4月26日、沖縄市美原の放課後等デイサービスゆめそら

 美咲特別支援学校はなさき分校に通う小学6年生の山下剣人(けんと)さん(11)=北谷町=が、放課後等デイサービスゆめそら(沖縄市美原)で感性豊かな絵本を量産している。ペンで独自のキャラクターや精密な乗り物を描いてクレヨンなどで色を付け、芸術の世界に没頭している。

 剣人さんは、ゆめそらに到着すると、すぐに「紙3枚ください」と言って指定席の座卓の前に座る。3枚の紙をまとめて二つに折り、真ん中をホチキスで留めると製本完了。後は表紙と裏表紙を除く10ページに、ひたすら絵を描き続ける。

 描くのは車や電車、飛行機などの乗り物が多い。ゆめそらで使っている車や、家族・親戚の車などを覚えており、何も見ることなく詳細に描き出す。夢の世界で乗り物に乗って祖母の家に向かう話や、一つ目の山のキャラクターが飛行機に乗る話など、物語は独創的だ。

 絵本作りは誰からも教えられず、自ら始めたという。時には紙で乗り物のペーパークラフトを作ることもある。白紙にいきなり「のりしろ」も含めた設計図を書き、組み立てると見事な立体に仕上がる。

山下剣人さんが描いた絵本の一場面。アンティフェイは英語で「フェイおばさん」の意味

 母親の美穂さん(32)によると、自閉症のある剣人さんは3歳のころから絵を描いて自分の気持ちを伝えてきた。バナナを食べたい時はバナナと冷蔵庫の絵を描くという。美穂さんは「剣人が絵を通して何か伝えられてハッピーなら、ずっと続けてほしい」と語った。