がけっぷちのキングスを救ったのは? 須田侑太郎、執念の逆転弾 細部にこだわるしぶとさで勝利へ


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CS準決勝第2戦 キングス―A東京 第4Q セカンドボールでもみ合いになるも絶対にボールを放さない須田侑太郎=5日午後、沖縄市体育館(新里圭蔵撮影)

 大声援が響く中、橋本竜馬会心のスチールに反応し、飛び込んできた須田侑太郎がパスをもらい体に染みこんだキャッチ&シュートへ。「何も考えられなくて。無心でした」。四方を囲むファンの視線を集めたボールがリングを抜けると須田が跳ねながら叫ぶ。第4Q残り2分42秒で逆転し54-52。A東京はすかさずタイムアウト。今季一番の大歓声が反響し続ける中「いろんな思いが混ざって。でも泣くのはまだ早い」と紅潮した顔で天井を見上げ、涙をこらえた。

 第1戦から泥臭くルーズボールやリバウンドで力を発揮し続けた。第4Qに逆転した3点弾の直前には、ルーズボールを相手外国人から奪い取り、難敵の攻撃を断ち切る。指揮官も「でかい見どころ」と評価するワンプレー。「絶対に譲れなかった。一見試合に関係なさそうでも小さいところで勝利がぐっと来る」と、細部にこだわるしぶとさで勝利の女神を味方につけた。

 田代直希とともにA東京のピック&ロールの強みも消し続け、第3Qは外れたシュートを田代、須田の連続タップでリングに押し込むなど、A東京の天敵となった2人。第4Q終盤はA東京がベストメンバーの中、橋本や田代と同時にコートへ。普段はベンチスタートで黒子役が多いだけに「出る以上キングスの全てを背負う自覚と責任がある。仲間とのコミュニケーションを取る中で良い連係も生まれた」と、殊勲者として臨んだ記者会見で謙遜し続けた。

 A東京の日本代表で主将の田中大貴は東海大学の同級生。「自分自身も楽しめるし、負けたくない。守備のプライドがある特別なマッチアップ」と意地を見せる。今季最後のホーム戦となる第3戦は「アグレッシブにハードに相手を減退させ、自分たちに流れを持ってくる。責任を持ってやるだけ」と守備職人として気概を見せた。

 (嘉陽拓也)


 プロバスケットボールBリーグ1部のチャンピオンシップ(CS)2018―19は5日、沖縄市体育館などで2戦先勝方式の準決勝第2戦2試合が行われた。琉球ゴールデンキングスは昨季王者のA東京に62―56で雪辱し、1勝1敗の五分に戻した。

 キングスは6点を追う第4Qに橋本竜馬のスチールから須田侑太郎が逆転3点弾を成功させて主導権を握ると62―56で勝ちきった。7日午後7時5分から同体育館でA東京と決勝進出を懸けた第3戦を争う。

 千葉は栃木を88―83で下し、2連勝で2季連続の決勝進出を決めた。千葉は前半を41―34で折り返し、第3クオーターにも富樫勇樹の得点などでリードを広げて粘る栃木を振り切った。