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プラス面だけではない マンション計画続々の浦西駅周辺で危惧されていること モノレール延伸(3) 〈熱島・沖縄経済〉16


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浦西駅を見下ろす高台に建設中のミルコマンション前田ザ・ビュー。着工前に部屋は完売した=浦添市前田

 「陸の孤島のような場所だった」。沖縄都市モノレールの延長が決定する以前の浦西地域について、県内各地でマンションを展開する業者はそう表現した。主要な幹線道路に近接しているわけではなく、利用可能な公共交通機関が少ないため、不便な場所だと感じていたという。しかしモノレールてだこ浦西駅の整備が決まると、駅周辺でマンションの建設計画が次々と持ち上がった。

 浦西駅を見下ろす高台に建築中のミルコマンション前田ザ・ビュー(浦添市前田)。駅に近い場所にあることから、マンション着工前に部屋は完売した。分譲に向けた営業を開始してから完売までに要した期間は、わずか3カ月だった。4月の完成に向けて、工事が進められている。

 同マンションを手がけたミルコ(那覇市)の新垣明則社長は「モノレールの駅ができるということで、期待値も上がったのだろう」と人気の高さを実感する。分譲終了後にも問い合わせが来て、現在はキャンセル待ちとなっている。新垣社長は駅周辺が開発されることに触れて「みんなが夢を描いている」と話した。

 浦西駅周辺の開発事業では、複数の企業がマンション建設計画を提案している。大成ホーム(浦添市)は住宅が集まる宅地エリアの整備と、本社や賃貸マンションなどの建設を計画している。喜名奎太社長は「駅や商業施設が建設されるだけではなく、地域でエネルギーを効率化する事業も進んでいる。新たな時代の街に変わっていく」と見通す。近くに小学校がないなど課題も感じているが、「間違いなく素晴らしい場所になる」と確信する。

 開発が着実に進む一方で、土地価格の高騰が計画に影を落としているとの指摘もある。複数の不動産関係者は「土地価格が倍以上になって当初の構想が崩れているケースも出ているはずだ。マンション業者は計画の見直しを余儀なくされているのでは」と推測する。土地価格の上昇で、予定していた分譲価格で販売すると採算が取れなくなっている可能性があるという。

 土地価格の高騰が事業推進の足かせとなった場合、駅の完成後も周囲がさら地のまま数年が経過するとの懸念も出始めている。同関係者は「不動産を取り巻く環境は劇的に変化し、業者は悩んでいるはずだ。事業に関わる全員で話し合い、妥協点を見つけないと計画は進まない」と警鐘を鳴らした。

(「熱島・沖縄経済」取材班・平安太一)

(琉球新報 2019年2月26日掲載)