那覇市から浦添市へ、沖縄都市モノレールの路線拡大に伴い、土地価格の上昇が見込まれるエリアも広がっている。那覇市おもろまちや小禄など、これまで人気が高かった地域に加えて、浦添市経塚など延長区間で土地需要が高まっている。那覇空港と直結していることからホテル事業者の参入も見込まれ、県内の不動産関係者は「浦添市内でモノレール沿線の地価が倍以上になる」とにらんでいる。
経塚駅周辺では、住宅地の整備が進められている。県不動産鑑定士協会で地価調査委員長を務める高平光一副会長は「モノレール延長による利便性の向上に加えて、区画整理も進んでいる。その両方が地価上昇の要因となる」と分析する。経塚エリアの坪単価は3~4年前は30万円程度だったが、モノレール駅近くで区画整理が進められる場所なら50万円近くまで上がることもあるという。
新都心など那覇市内の地価が高騰していることから、需要が経塚に流れてくるとの見方もある。高平氏は「モノレール沿線にありながらも、経塚は那覇市内より割安感がある。経塚が新都心や小禄などの土地と比較される対象となった」と指摘する。需要の高まりに供給が追い付かなければ、地価の動きが新都心のようになることも考えられる。
「モノレール沿線エリアの土地をみんなが狙っている」。県内の不動産業者は、浦添が注目されていることを実感する。現状では売りに出されている土地は少なく「地主が地価の上昇を見越して売るのを控えているはずだ」と考えている。モノレール沿線では、数年前より地価が2倍以上まで上がっているといい、不動産業者は「モノレール開通後に地価が高止まりしたタイミングを狙って地主は売却に動くのでは」と推測する。
モノレール延長で那覇空港からのアクセスが容易になるため、ホテル業者の参入を予想する意見も多い。てだこ浦西駅の周辺開発では、ホテルを含む複合施設の誘致も進められる。ホテル業者は稼働後の収益性を勘案して土地の購入価格を決めるといい、高い収益が見込まれる場所では高価格の取引が行われることもある。県内の不動産関係者は「ホテルが相手になったらマンション業者などに勝ち目はない。価格はどんどん上がり、県民の手が届かないところまで行ってしまう」とため息を漏らした。
※注:高平光一氏の「高」は旧字体
(「熱島・沖縄経済」取材班・平安太一)
(琉球新報 2019年2月27日掲載)