那覇空港では第2滑走路の供用開始を前に、国際線と国内線をつなぐ際内連結の新ターミナルが今月18日にオープンする。ターミナル施設には国際線とピーチなどの格安航空会社(LCC)のカウンターが集約。各国、各地の人々が行き交う立地を生かし、施設内には訪日外国人観光客(インバウンド)、国内客の双方を意識したテナント合計36店が出店する。県内外の事業者が沖縄進出の足掛かりにしたり、販路拡大を模索したりしている。
国際線の全カウンターが移転する新ターミナルは、2階にはインバウンドを主なターゲットにした通り「YUINICHI(ゆいにち)ストリート」が設置され、日本と沖縄の厳選した店舗、一品が並ぶ。
この通りを中心に各階に出店テナントがあり、県外企業の沖縄初出店も多い。カステラ製造を手掛ける創業1919年の長崎堂グループの「黒船」や「ビジネスレザーファクトリー」「おたべ・辻利」「エアビックカメラ」「MUJI to GO」などが初進出する。
豚骨ラーメンが売りの「東京豚骨ラーメンばんから」は空港店の売り上げが伸びれば県内でさらに店舗を増やしていきたいという。アジア圏ではラーメンのブームが続いており、県内でも行列の途切れない人気店も多い。運営する花研(東京)の堀内勝章さんは「お客さまが元気になるラーメンを作っている。空港店の成功で第2、第3の店舗につなげたい」と今後の展開に期待した。
日本各地の厳選品を取り扱う日本百貨店はリウボウ商事が運営を担う。空港の店舗は初で、日本百貨店の植村妙子さんは「アジア、世界に日本を発信する」とインバウンド需要を取り込む狙いを示した。
各企業が空港出店で商機をうかがうのは、旺盛な消費のインバウンドの需要を見越すためだ。第2滑走路の供用開始も1年後に控え、さらなる利用客増加も予想される。日本百貨店も滑走路増設後は、年間1億5千万円の売り上げ目標を2億円に増額する考えだ。
一方、沖縄の工芸品を扱うゆいまーる沖縄(南風原町)は地域のマーケティングなどを担うネイティブ(東京)と提携し、職人や作家が手掛けた「沖縄のアイデンティティーを感じられるモノ」というコンセプトに合致した工芸品やデザイン雑貨を販売する「Dear Okinawa,」を展開する。
沖縄の土産品は、県産が少なく、県外・海外産の氾濫が指摘される。独自性や高級感ある県産品が商機をつかめるかも期待される。ゆいまーる沖縄の嘉陽沙織さんは「県内の産業振興につなげたい」と意気込む。
(「熱島・沖縄経済」取材班・仲村良太)
(琉球新報 2019年3月6日掲載)