「今の施設は1年で飽和状態になった。新ターミナルはどうなるか」。那覇空港国際線旅客ターミナルビルと国内線旅客ターミナルビルを結ぶ新ターミナルが18日にオープンするのを前に、ソウル線などを運航するジンエアー沖縄空港支店の大鋸義則支店長はこう語った。新ターミナルビルの完成で国際線は利便性向上が期待される一方、2020年3月には第2滑走路の供用が始まり、路線拡充が予想される。利用者増加に向けた、期待の大きさの裏返しだ。
現在使用する国際線ビルは14年2月に新設された。設計が始まった10年度の国際線旅客数は41万人だったが、外国人観光客の増加に伴い就航都市や便数が増え、旅客数は増加の一途をたどった。年間100万人の利用を想定したため供用開始と同時に満杯状態となり、18年は暦年の速報値で384万人に達した。10年度と比較して9・4倍、想定の4倍近くと大幅に増え、慢性的な混雑が課題となっている。
新ターミナルはこれらに対応し、受け入れ態勢を整備しようと17年1月に着工した。国際線ビルの全チェックインカウンター20ブースが3階に移動し、60ブースに増設される。暫定貨物LCCビルにあるピーチ・アビエーションとバニラ・エアのチェックインカウンターも移転するため、シャトルバスでの移動が不要になる。
さらには、国内線ビルから国際線ビルまで1階が到着、2階が出発、3階がチェックインと階層構成が統一され、利用者が分かりやすくなる。同時に、国際線では手荷物を預けた後に自動的に爆発物検査を行う「インライン・スクリーニング・システム」や、手荷物自動預け機が一部を除き導入される予定で、スムーズな搭乗が期待される。
施設面の整備が進むものの、観光客増加につながる航空機離着陸数増加のためには新滑走路の供用が必要となる。明確な数値は示されていないが、滑走路増設で国際線やLCCを中心に路線が増えると見込まれており「国際旅客ハブ構想」が現実味を帯びる。
施設を運営する那覇空港ビルディングの兼島規社長も新ターミナルの供用開始が「国際旅客ハブ、トランジット空港につながる」と断言する。国内の主要空港の多くが国内線と国際線のビルが別の建物だが、那覇空港は連結により乗り継ぎが容易になるためだ。
ただ、乗り換え需要が高まるほど乗客の空港滞在が長時間化する。新ターミナルにはこれまでにない多様なテナントが出店するが、新たなエンターテインメントや宿泊施設が必要になると指摘されている。インフラ整備と同時に新たな環境整備も必要になりそうだ。
(「熱島・沖縄経済」取材班・仲村良太)
(琉球新報 2019年3月7日掲載)