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物流ハブ 企業活動後押し 海外ネットワーク後押し 拡張ゲートウェイ(5) 〈熱島・沖縄経済〉22


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
国内外からさまざまな貨物が集まる物流の拠点=3月11日、那覇空港

 沖縄を中心に円を描くと、千キロ以内に台湾、2千キロ以内にソウルや北京、マニラが入る。24時間の運用が可能な那覇空港の国際物流ハブ機能を活用すると、アジアの主要都市まで迅速に貨物輸送ができる。那覇空港から輸出される貨物は現在、農産物が中心となっているが、高い利便性を生かして精密機器の輸出も拡大する。那覇空港のハブ事業は、県内の企業活動を後押ししている。

 半導体製造装置メーカーのナノシステムソリューションズ(うるま市)はアジア市場への展開強化を視野に入れて、2014年に本社機能と製造拠点を東京から沖縄に移した。同社の赤星治副社長は「アジアの大きな市場にアプローチすることを考えて沖縄に進出した」と説明する。沖縄の温暖な気候は精密機器の製造に適しており、那覇空港のハブ機能を活用することで事業は順調に進む。19年度の売り上げは、沖縄進出前の13年度と比較して8倍程度まで伸びると見込む。

 「沖縄は陸送に要する時間も短く、輸送中の振動で故障するリスクも少ない」と赤星氏。東京に拠点を置いていた時期は、輸出する際に陸送で千キロ近く走ることもあった。沖縄なら数十キロで那覇空港に運べる。赤星氏は「物流の利便性が高く気候に恵まれた沖縄は貴重な地域だ。沖縄に注目する企業はもっと増えるはずだ」と考えている。

 県内で飲食店を展開するJCC(糸満市)は那覇空港のハブ機能を活用して、和牛やマグロなど生鮮食品の輸出を進めている。同社国際事業部の増田典彦氏は「航空便で鮮度の高い商品を運べることは強みになる」と実感する。食品の輸出だけではなく、人員交流などを通じて調理方法を紹介している。増田氏は「輸出して終わりという一方通行の取引ではない。アジアに近い沖縄だからこそ、輸出相手である海外の事業者と同じ目線で仕事ができる」と話した。

 那覇空港のハブ機能で企業の海外ネットワークが強化され、成長につながるチャンスが生まれている。物流に詳しい琉球大の知念肇教授は「グローバル市場の波が沖縄に押し寄せている。県内企業は人材育成をして、競争に勝てるようにする必要がある」と感じている。那覇空港の第2滑走路の完成で、観光客の増加や物流環境のさらなる活性化も予想される。知念教授は「沖縄の企業もこれから何をすべきか考える時期に来ている。今よりもレベルを上げて、アジアとつながりを強めることも重要だ」と強調した。

(「熱島・沖縄経済」取材班・平安太一)

(琉球新報 2019年3月14日掲載)