「宮古島バブル」と言われ、好調な宮古島市の経済、観光がさらに飛躍しようとしている。30日に開業する「みやこ下地島空港ターミナル」は成田、関西、香港の3路線の定期便就航が決まり、今後も格安航空会社(LCC)や海外航空会社などのさらなる路線拡大が期待される。就航を検討する海外の航空会社幹部は「宮古は自然豊かで、ホテルも素晴らしい」と絶賛。アジアの旅行市場が拡大する好機も重なり、空港施設開業を控える宮古・下地島に熱い視線が注がれている。
「1週間で約3千席を販売した」。みやこ下地島空港ターミナルの報道関係者向けの内覧会があった15日、下地島への路線就航を決めている格安航空会社(LCC)ジェットスター・ジャパンの片岡優社長はこう語った。
ジェットスターが運航するのは現時点で成田空港、関西国際空港を結ぶ2路線だが、同社広報は「旅行の選択肢を広げたい」としており、成田―下地島―関西で利用することも可能だとしている。さらには、香港線を就航する香港エクスプレスの乗客が宮古・下地島を訪れて、東京、関西に向かう際にも使えるとした。香港エクスプレスも「オープンジョー(周回旅行)ができるオプションを提供したい」としており、他の日本路線との相乗効果を図る考えだ。
近年、航空市場はアジアが特に急拡大している。国際航空運送協会(IATA)によると、2017年の全世界の航空旅客数は前年比7・3%増の41億人に達した。37年には82億人に倍増すると予想されている。特に中国、インド、インドネシア、タイなどが伸び、アジア太平洋の年平均成長率は4・8%と世界で最も高く、37年には39億人と全世界旅客数の半分近くを占める。
この中で航空各社は路線拡大を図っており、みやこ下地島空港ターミナルの開業は絶好のタイミングだ。
下地島への就航を検討する大韓航空は日本地区本部長の金正洙常務が2月、県庁に富川盛武副知事を訪ね、チャーター便の計画を説明した。韓国人に好まれるリゾートホテルやゴルフ場があることにも着目、定期便就航の可能性も示した。
ターミナル施設を運営する下地島空港エアポートマネジメント(伴野賢太郎社長)に出資する三菱地所の吉田淳一社長は16日、ターミナルの竣工(しゅんこう)式典後に取材に応じ、今後の就航路線の展開について「海外はアジアが中心になっていく」との認識を示した上で、沖縄観光が人気の台北やソウル便の開設に向けて営業に力を入れていると明らかにした。宮古、沖縄の新たな空の玄関口として、旅行市場をどれだけつかめるか。期待はさらに膨む。
(「熱島・沖縄経済」取材班・仲村良太、真栄城潤一)
(琉球新報 2019年3月19日掲載)