続く民生委員不足、全国平均より低く 米統治で制度導入遅れが要因


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 12日の「民生委員・児童委員の日」を前に、沖縄県子ども生活福祉部は8日、県内で委嘱されている民生委員は4月1日時点で2076人で、定数2399人に対する充足率は86・5%だと発表した。昨年同時期と比べ4人増え、わずかに改善しているが、2016年12月時点の47都道府県平均は96・3%で、全国的に見ると低い状況にある。

 民生委員は、厚生労働大臣に委嘱され、地域や児童福祉の向上のために活動するボランティア。沖縄は、米統治によって制度の導入が遅れたことなどから民生委員に対する認知度が低く、充足率が全国平均より低い状況が続いている。

 欠員数が最も多いのは那覇市で68人、次いで沖縄市34人、名護市25人、うるま市23人。定数を満たしているのは大宜味村、伊江村、伊平屋村、金武町、渡名喜村、粟国村、八重瀬町、多良間村、竹富町、与那国町の10町村。

 県が2017年度に実施したアンケートによると、沖縄の民生委員は女性の割合が全国と比べて高く、7割を超えている。年齢構成は60代が56・1%、70代以上が29・4%、50代が10・9%、40代以下が3・5%で全国とほぼ同じ傾向だが、収入を伴う仕事をしていない人の割合が44・9%(全国60・9%)と低く、仕事をしながら民生委員を務めている人が多い。

 ことし12月には3年に一度の民生委員の一斉改選がある。改選のタイミングで担い手が減る傾向にあり、県は危機感を強めている。県子ども生活福祉部の大城玲子部長は「市町村の取り組みが重要になってくる。今後、欠員が多い自治体を重点的に回り、働き掛けていきたい」と述べた。