ミステリーの舞台巡る 那覇・水上店舗ツアー 著者オーガニックさん案内 執筆秘話に耳傾け


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ガーブ川でオーガニックゆうきさん(左から3人目)の解説を聞く参加者=那覇市牧志

 【那覇】那覇の商店街をホームに活動する「マチグヮー楽会」主催のイベントがこのほど、那覇市牧志のガーブ川の水上店舗であった。2日間のうち初日には、水上店舗を舞台に描かれたミステリー小説「入れ子の水は月に轢(ひ)かれ」の著者、オーガニックゆうきさん(浦添市出身)の案内で、小説のモデルになった地を巡る「水上店舗ミステリーツアー」があった。参加者は小説を片手に著者の解説やエピソードに耳を傾けながら那覇市内の街歩きを楽しんだ。

 小説は昨年の第8回アガサ・クリスティー賞大賞を受賞したオーガニックさんのデビュー作。国際通りを一歩入り、那覇市中心街を流れるガーブ川の暗渠(地下排水路)に建てられた水上店舗が舞台。

 ミステリーツアーでは小説に登場する人物の住宅や店舗をイメージしたという太平通りの一角、小説の中で死体が流れ着くイメージを膨らませたというジュンク堂書店那覇店の横を流れるガーブ川などを巡った。

 ツアー後はオーガニックさんとの井戸端会議もあった。水上店舗を題材にした理由や小説への思いなど、秘話が語られ、「(執筆中は物語の)主人公になっていた」などの話もあった。登場人物で実在する鶴子オバアの娘さん姉妹も訪れ、「小説を読んで、幼い頃のことや戦後何もなかった時代に女性が命をつないだ場だったということを思い出させてくれた」と感想を述べた。(中川廣江通信員)