親子で「お腹と心を満たすお手伝い」 朝は子ども食堂、昼は高齢者、夜は働き盛りの町民集う地域コミュニティーの場に 沖縄・与那原「まるはな食堂」


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 【与那原】おなかと心を満たす手伝いをしたい―。4月上旬に与那原町オリオン通り入り口に開店した「まるはな食堂」では、朝の登校時間前に「いただきます」の子どもの声が響く。「ちゃんと座って食べるんだよ」と声を掛けるのはオーナーの花城勇栄さん(49)だ。息子の翔輝さん(31)と共に朝6時から7時半まで、朝ご飯を100円で提供している。メニューは変動するが、ご飯にみそ汁、おかずも付く。花城さんは「赤字だよ。でも子どもの笑顔を見るのが目的だからこれでいいんだ」とほほ笑む。

子ども食堂タイムに100円で提供している朝ご飯を手にする花城翔輝さん=4月25日、与那原町

 花城勇栄さんは与那原町出身。7人兄弟の長男に生まれた。「兄弟が多くてご飯が足りなかった。給食が楽しみだった」と幼少期を振り返る。「空腹だった体験もあって、子ども食堂を開こうと数年前から考え始めた」。開店して約1カ月。食堂の店長である翔輝さんと一緒に、定休日を取らず開店している。

 子ども食堂タイムが終わった後、午前11時半には食堂を再び開店させる。ゆんたく食堂タイムとして、高齢者向けに食堂メニューを割引して提供している。午後3時からは子どもの勉強室としても開放しているので、自然と高齢者と子どもたちの交流が生まれる。「子どもを助けるためには地域の結束がなくちゃいけない。ここが地域コミュニティーの場になればいい」。夜は働き盛りの町民らが集う。ただの食堂ではなく“ゆいまーる食堂”としての側面が見える。

 最近は取り組みを知った地域住民が、子ども食堂用に食材を提供してくれることもある。翔輝さんも「地域のためにここまでする父を尊敬している。一緒に頑張りたい」と力強く話した。