【記者解説】参院選出馬の安里氏 辺野古移設の是非触れず… 自民県連は「容認」安里氏周辺には「反対」の声も


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夏の参院選沖縄選挙区への出馬を表明する安里繁信氏(右端)=11日午後、那覇市泉崎のANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー

 夏の参院選沖縄選挙区に向け、シンバホールディングス会長の安里繁信氏が自民党公認としての出馬会見を開き、現職の糸数慶子氏の後継者として「オール沖縄」陣営から立候補を予定する高良鉄美氏(元琉球大法科大学院教授)との対決構図が固まった。安里氏は沖縄観光コンベンションビューロー会長や日本青年会議所会頭の経歴を前面に、ポスト沖縄振興計画を争点とした経済政策や実行力を問う考えを示した。

 一方、高良氏が最大の争点に掲げる米軍普天間飛行場の辺野古移設の是非について、安里氏は現時点で言及を避けた。安里氏を擁立した自民党県連は昨年9月の知事選の敗北を受け、普天間飛行場の早期返還に向けて辺野古移設「容認」を打ち出す戦略を取るべきだと総括している。安里氏もその方針を踏まえ、新基地の是非を明確にして選挙戦に臨むとみられる。

 ただ、安里氏周辺には「辺野古移設『反対』を打ち出すべきだ」との声も一定数あり、今後の戦略を巡り曲折も予想される。6月上旬に予定する政策発表に向け、政権政党の候補者としてどこまで主導権を発揮できるかも焦点だ。

 辺野古新基地建設を巡っては、2月の県民投票で投票総数の7割超が反対の意思を示し、4月の衆院沖縄3区補欠選挙で移設阻止を掲げた候補者が当選した。一連の結果にどう向き合うかを問われることは避けられず、普天間の危険性除去に向けた手法や抑止力などについて活発な政策論争が求められる。

 (吉田健一)