沖縄から海外に輸出する貨物の一つとして、中古車が注目を集めている。沖縄では一家で数台の自家用車を保有することが多く、観光客の増加に伴ってレンタカーの台数も伸びている。車社会の沖縄なら一定程度の中古車を確保することが容易とみられており、沖縄を代表する輸出品となる可能性も高い。県による中古車輸出の実証実験も行われており、海外販路の確立に向けて取り組みが進んでいる。
自家用車やレンタカーとしての役割を終えた中古車は、東京や大阪に運ばれ、そこから海外に輸出されるケースが多いという。沖縄から県外経由で海外に輸出する中古車は年間3千台程度で、国内輸送を挟むため物流コストが余分にかかる。沖縄から直接、輸出することでコストを抑えられ、輸入貨物と比較して輸出貨物が極端に少ない「片荷輸送」の課題解決にもつながる。県アジア経済戦略課が2015年度から17年度に実施した実証実験では、スリランカなどに中古車を輸出した。
沖縄の中古車輸出台数は15年は18台にとどまっていたが、県の実証実験が行われたこともあり、16年は391台まで伸びた。17年は475台、18年は721台と取扱数は年々、増加している。同課の木村政昌副参事は「沖縄は中古車を輸出できる環境が整っている。人口減少や若者の車離れで国内市場が厳しくなっているので、海外へ輸出する量は増えるはずだ」と強調する。中古車の輸出台数は3千台程度まで伸ばせると試算している。中古車の輸出が進めば、自動車部品などの輸出も拡大するとみている。
中古車の輸出だけではなく、新車を県外から運び入れる取り組みも行われている。うるま市は今年2月に、中城湾港新港地区で新車を受け入れる実験を実施した。同地区の近接エリアは自動車関連の企業が立地しているほか、整備センターも近くにある。これまで那覇港で受け入れていた自動車貨物を同地区に運び入れることで、那覇市からうるま市まで陸送する時間やコストを軽減することができる。同市の担当者は「新車を県外から受け入れて、県内で使った後に中古車として輸出する循環型のビジネスができるはずだ」と指摘する。
中城湾港新港地区には自動車輸出などで活用できるモータープールの整備も進む。那覇港に集中する自動車貨物を同地区でも扱えば、港の混雑緩和や物流の効率化につながる。車社会の沖縄が日本を代表する自動車貨物の取り扱い地域として発展するため、関係者らの取り組みが続けられている。
(「熱島・沖縄経済」取材班・平安太一)
(琉球新報 2019年4月11日掲載)