夕日が見えるビーチ、ホテル、商業施設―。那覇市のベッドタウンとして市街化してきた浦添市で、昨年3月に開通した臨港道路浦添線・浦添北道路を中心に「リゾート地」の形成に向けた動きが進んでいる。計画通りにいけば約250億円の経済効果を生み出す想定だ。
浦添市は西海岸の一部を埋め立て、ビーチやホテル、商業施設、クルーズ船が接岸できる岸壁を整備する計画を立てている。米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)返還後の構想としても標高が高い陸側に住宅地、海側に企業誘致や再生医療の集積地域など産業振興地区などの可能性を見ている。
西海岸周辺では、今後の開発を見越した民間によるホテルや商業施設の建設計画も進んでいる。国道58号線と開通道路の間に位置する浦添市牧港では、ゆがふホールディングス(名護市)が「港川タワービルプロジェクト」と称して17階建ての複合型タワービルの建設を予定する。同社の仲座義人専務は、「長期的に見るとキンザー返還後の開発への期待や、道路の開通、サンエーパルコの出店など、ビジネス的に浦添市は可能性のある地域だ」と期待する。
2~8階には企業が入居するオフィスを整備する計画だ。750台以上の駐車場も整備する。建物の老朽化や、土地が狭く駐車場代が高騰している那覇市内から移転を希望する企業のニーズがあるという。浦添北道路と臨港道路浦添線が開通し、国道58号線の渋滞緩和などからアクセス改善も進んでいる。仲座専務は「那覇のオフィスの課題を補える。駐車場が確保できないと人材が確保できない状況もある」と話す。
さらに9~17階にはシティホテルが入る。浦添市にはホテルが少なく、春季キャンプを浦添で行うプロ野球球団の宿泊先は那覇市内となっている。オフィスとホテルの複合開発について仲座専務は「観光客だけでなく、スポーツ遠征に来る選手団やMICE施設に来る人たちの宿泊先になれれば」と期待する。
浦添市港川の海岸、空寿崎(通称カーミージー)に面する場所では、パナソニックホームズ(大阪府)が進める高級リゾートホテルの建設計画もある。浦添市は、西海岸埋め立てや基地返還後の開発が進めばさらに誘致を進める考えだ。
都市開発の目玉となるサンエー浦添西海岸パルコシティは、6月27日に開業すると発表された。県内最大級の商業施設として、浦添市では経済効果は255億円、約3400人の雇用効果を生み出すと試算する。パルコシティの隣にはホテル用地が確保され、今後の活用策も検討されている。
市の担当者は「国際的なリゾート地にしたい。西海岸なのでサンセットも楽しめる」と強調した。
(「熱島・沖縄経済」取材班・中村優希)
(琉球新報 2019年4月18日掲載)