社会

92歳の沖縄戦体験者が福島で伝える戦争の実態

太田博さんの名が刻まれた墓石に手を合わせ「長年来られず申し訳ございません」と語り掛ける渡口彦信さん=14日、福島県郡山市

 【福島で当銘千絵】福島県を訪問中の渡口彦信さん(92)=読谷村=は14日、郡山市の東山霊園を訪ね、沖縄戦で戦死した元陸軍少尉・太田博さん(享年24)の墓前に手を合わせた。渡口さんは墓石に刻まれた太田さんの名をなぞると「生き残った罪悪感」に苦しめられてきたことを明かし「74年ぶりにお会いでき、感無量だ」と目頭を押さえた。

 渡口さんは戦後60年の2005年、福島県立郡山商業高校同窓会が糸満市のひめゆりの塔前で開いた太田さんをしのぶ慰霊祭を報じた本紙記事を見て、太田さんが1945年6月の部隊解散直後に戦死していた事実を知った。

 墓前に手を合わせた渡口さんは、ひめゆり平和祈念資料館の第4展示室で今もなお「別れの曲」が鎮魂歌として流れていることや、今回の旅に同行できなかった元学徒の思いなどを伝え、「どうかいつまでも平和な世界が続くよう、太田少尉殿も見守ってください」と語り掛けた。