【沖縄】沖縄市が計画を進める1万人規模の多目的アリーナの建設地から、環境基準値の5倍を超える六価クロムが検出されたことが16日分かった。六価クロムはセメントに含まれることから工事現場などで検出される事例がある。一方、県内では主に米軍基地からの流出や基地跡地での土壌汚染で確認されており、米軍の廃棄物による汚染を懸念する声もある。
沖縄市山内のアリーナ建設地は、1970年以前はごみ焼却場があり、72年にコザ市営観光闘牛場として整備された。アリーナ建設に伴って闘牛場は2018年に取り壊されたが、跡地から大量の廃棄物が混じった土砂が見つかっている。
市は1月11日に土壌調査を実施。1リットル中、最大で基準値(0・05ミリグラム)の5倍超に当たる0・275ミリグラムの六価クロムが検出された。調査報告書によると、5倍超の地点の上部は廃棄物があり「廃棄物として埋め立てられたセメント廃材やクロムを含んだ金属製品の腐敗などに起因する」と指摘。市は「過去の工事の廃材に由来する可能性もある」との見方を示した。
建設地周辺はこれまで道路や雨水排水管の整備などの公共工事があった。県の下水道事務所や中部土木事務所の担当者は「廃材の投棄があったかは資料がないため不明」と説明。市の担当者は「出どころは不明」とした上で、水溶性が高く地下水に染み出る可能性もあることから「水質調査の準備をしている」と説明した。沖縄大の桜井国俊名誉教授は、六価クロムを含む洗浄剤がベトナム戦争時に使用されたことに触れ「生活ごみから出ることは考えにくい。米軍の廃棄物が原因の可能性はゼロではない」との見解を示している。
[用語]六価クロム 水に溶けやすい重金属で発がん性があるとされる。浦添市の米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)でベトナム戦争時に使用したトレーラーや重機の車体、エンジンなどの洗浄剤に六価クロムが含まれていたことが、1976年の県や市の調査で明らかになっている。作業に携わった基地従業員が体調不良を訴えるなどの健康被害も確認された。北谷町のキャンプ桑江跡地では、最大で基準値の17倍の六価クロムが検出された。