「水は命の源。影響怖い」 血中から高濃度有害物質が検出された住民、健康被害を懸念


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地下水や水道水の有機フッ素化合物汚染を懸念する宮城達雄さん(左)と妻の園子さん=16日、宜野湾市大山

 【宜野湾】「水は命の源なのに、健康に影響がないか非常に心配だ。恐怖を感じる」。宜野湾市大山に住む会社役員の宮城達雄さん(82)と妻園子さん(79)は、京都大学の採血調査で有機フッ素化合物が全国平均(環境省調査)より高い値で検出された。米軍基地由来の物質である可能性が指摘され、健康被害に対する懸念が広がっている。

 夫妻の血液検査の結果はPFHxSで1ミリリットル当たり28~30ナノグラムの値が出た。これは全国平均の92~96倍の高さだ。PFOSは同15~21ナノグラムで全国平均の4~6倍程度、PFOAは同3~5ナノグラムで全国比2~3倍となった。

 京大の調査によると大山の湧き水からPFOSが1リットル当たり1193ナノグラム、PFHxSが同151ナノグラムと高濃度で検出されている。

 大山で生まれ育った達雄さんは戦後、集落の上流にある米軍普天間飛行場周辺の湧き水に、基地から汚水が流れ出ていたことを覚えている。

 下水処理施設が整備されていなかった時代、「地下水からガソリンが湧いてきたり、湧き水からどぶの臭いが漂ってきたりした」と振り返る。

 現在、自宅周辺でレタスやトマト、イチゴなどの水耕栽培をしている。当初は豊富な地下水を利用していたが、5年前に水の純度を調べる計測器で異常な値が出た。「基地から何か不純物が出ているのではないか」と直感的に思い、地下水の使用を止め水道水に切り替えた。

 今回の調査で水道水への懸念も拭えず、飲料用としてウオーターサーバーを購入した。「飲み水や水耕用でやんばるまで水をくみに行こうと思うけど、やんばるにも基地があるから怖い…」と吐露する2人。「子や孫への影響が特に心配だ。基地内に下水処理施設を造ったり、立ち入り検査したり、国や県、市などが水の状態を改善してほしい」と求めた。
 (金良孝矢)