沖縄県那覇市の国際通りで、歩道など公共の場所に無許可で設置される違法な立て看板やのぼりが増えている。市が国際通りなど三つの重点地区で看板の違法設置に対し是正指導した件数は、指導を始めた2016年度は7528件だったが、18年度は約29%増の9724件に上った。その大半が国際通りだ。看板を撤去させてもその日のうちに再設置される「いたちごっこ」状態で、関係者は対応に苦慮している。那覇市国際通り商店街振興組合連合会は「環境が悪化し不法投棄も誘発している」と指摘する。
「めんそーれ那覇市観光振興条例」は看板の違法設置や客引きなどを禁じ、国際通り、沖映通り、パレットくもじ周辺を迷惑行為防止重点地区に指定している。
市は指導員を巡回させ、口頭と文書で是正指導を行っている。市担当者は違反が増加していることに「条例に罰則がないことが分かり、常習的になっているのではないか」とみている。
商店街や行政などでつくる「重点地区における迷惑行為防止推進協議会」は19年度から、(1)合同パトロールの増加(2)指導文書を経営者に送る(3)条例を守っている事業所にステッカーを貼る―といった対策を採ることを決めた。
常習的に違反し年間100件以上指導を受ける事業所は35カ所。18年度はこれらの事業所への指導が約7千件に達した。指導員によると、障がい者が看板にぶつかった事例や、点字ブロックの上に看板が置かれていた事例もある。協議会内には「条例に罰則を設けるべきだ」という意見もあり、市は検討している。
(伊佐尚記)