沖縄への理不尽今も 「木の上の軍隊」東京再々公演


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 【東京】井上ひさし原案で沖縄戦を描いた劇団こまつ座の演劇「木の上の軍隊」が、6月26日の沖縄初公演を前に東京都の紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演されている。19日まで。2013年の初演から3回目の再々演。沖縄戦を描いた作品ながら、今の沖縄と本土の状況が二重写しになっており、多くのことを観客に問い掛けている。

沖縄初公演となるこまつ座の舞台「木の上の軍隊」の一場面(谷古宇正彦氏撮影)

 本土出身の日本兵の上官と沖縄出身の新兵が終戦を知らずに2年間、伊江島の木の上にこもっていた実話に基づく戯曲。上官役の山西惇さんと新兵役の松下洸平さん、木の精役で沖縄出身の歌手普天間かおりさんが演じる。

 中央に設置された大きなガジュマルを舞台に、本土出身で国家を背負う上官と、島の平和をいちずに願う沖縄の新兵との決して交わることのないやり取りが展開される。

 上演後のトークショーで普天間さんは「沖縄の人にぜひ見てほしいという高揚感もあるが、どう感じられるかちょっとどきどき」と語った。舞台を見た観客からは「オスプレイの音が聞こえるようだ」「今の政治家にこそ見てほしい」などの感想が上がった。

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 こまつ座は6月26日午後7時から、「木の上の軍隊」を沖縄市民会館大ホールで、琉球新報社と沖縄市まちづくり文化コンソーシアムとの共催で上演する。チケットなどの問い合わせは琉球新報社営業局(電話)098(865)5200。