3択化で減ったのは「賛成」?「反対」? 2月の沖縄・辺野古県民投票 棄権者の特徴は?


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県民投票の一票を投じる有権者=2月24日

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立ての賛否が問われた2月の県民投票では、「どちらでもない」という選択肢に「反対」を減少させる効果があった―。

 名古屋大学大学院の岡田勇准教授(政治学)らが実施した独自の世論調査でこんな傾向が浮かび上がった。県民投票の全県実施が決まるまでに「どちらでもない」の選択肢が加えられ3択となった影響を調べたほか、投票に行かなかった棄権者の動向にも着目した。

 調査は岡田氏のほか琉球大の久保慶明准教授(政治学)、柳至准教授(行政学)の3氏で実施し、月刊誌「世界」で発表した。

 県内在住者約千人を対象にしたインターネット調査で、2択と3択に関する質問のほか支持政党や新聞購読の有無、民主主義の信頼度などを確認する約30項目を用意した。

 県民投票前と後の2度同じ対象者に聞き取りをし、実際に投票した人と棄権した人の動向の違いも分析した。

 事前調査1024人のうち、賛成か反対かの2択を問う質問に504人が答え、「どちらでもない」を加えた3択の質問には520人が答えた。3択では「どちらでもない」が25・8%となり、2択よりも「賛成」が約10%、「反対」が15・7%低かった。

 だが、これを実際に投票に行ったと回答した人のみの結果で見ると、3択での「賛成」は2択の場合の3%減にとどまったが、「反対」は15%減と下げ幅が顕著だった。

 このことから岡田氏らは「どちらでもない」という選択肢が「県民投票の参加者に限定すると『賛成』を減少させる効果はなく、『反対』を減少させる効果があった」と考察している。

 一方、事後調査で投票に行かなかったと答えた棄権者の内訳は、賛成(42・6%)と「どちらでもない」(36・4%)の割合が高く、反対は20・9%だった。

 棄権者の特徴としては新聞を読んでいない、民主主義への信頼性が低い、昨年9月の知事選で玉城デニー氏に投票していない―などの傾向が浮かび上がったという。