「うつる、汚い」ハンセン病元患者の家族が差別やいじめの実情を訴え 国は家族の被害にも謝罪を


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ハンセン病家族訴訟の意義や偏見・差別が続く要因などについて意見を交わす弁護士や専門家ら=20日、宮古島市の国立療養所宮古南静園

 第15回ハンセン病市民学会総会・交流集会は3日目の20日、宮古島市の国立療養所宮古南静園でハンセン病家族訴訟とハンセン病資料館に関する分科会がそれぞれ開かれた。訴訟の原告や弁護士らは6月28日の判決を前に、ハンセン病への差別や偏見がいまだ残る現状を訴え「国に家族の被害も認めて謝罪させることで、偏見や差別の一掃につなげたい」と呼び掛けた。

 家族訴訟の分科会では宮古島出身の原告3人が被害を訴えたほか、家族訴訟の意義や偏見・差別が続く要因などについて、弁護士や社会学の専門家が討論会で意見を交わした。

 父親が満州で従軍中に発症した県出身の女性(68)=大阪府=は「うつる。汚い」と、学校で友達にいじめられた過去を打ち明け「家族は厳しい差別の中で生きてこなければならなかった」と目を赤くした。共に原告になった姉の思いも代読し「父は戦争という国策で病気になり、私たちはつらい生き方を歩んだ」と語った。

 国立ハンセン病資料館の在り方について議論した分科会では、ハンセン病の元患者が高齢化する中、今後さらに資料館の役割が重みを増すことを確認した。