舞台女優になりたい…75歳で60年越しの夢を実現 「もっときれいになって舞台に出たい」


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リハーサルで演技する前里清子さん(中央)ら=2日、県男女共同参画センターてぃるる1階ホール

 終活という言葉にもさまざまな段階がある中、残された人々のためといわれる「第三の終活」をテーマに、終活演劇「ニライカナイからのおくりもの」(リバース ザ ワールド主催)が2日、県男女共同参画センターてぃるるで上演された。前里清子さん(75)=糸満市=が舞台女優の60年越しの夢を実現し、来場者から喝采を浴びた。

 2話上演され、第1話は、家族を亡くした遺族のもとにニライカナイからの使者が現れ、生前撮影していた故人からのビデオレターを届けたり、期限付きで死者をよみがえらせたりする内容。

 第2話「オレオレ詐欺・アポ電」は、詐欺集団の襲撃に遭い死んだ75歳のおばあさんが1カ月だけよみがえり、舞台女優を目指す話。主演の前里さんが中学生の頃から抱いていた舞台女優の夢をかなえる姿を基に作られた。

上演後に記念写真を撮る観覧者とリバース ザ ワールドの俳優ら

 上演後、カーテンコールに出てきた前里さんは「これからも、もっときれいになって舞台に出たい」と話し、会場は温かい拍手に包まれた。

 「リバース ザ ワールド」代表の西平寿久さん(35)=糸満市=は舞台を終え「終活とは終わりに向かっていく活動ではなく、終わりを意識して活動することだと確信した。終わりを意識すると、一日の大切さが深くなる。当たり前のことだが、自分の側にいてくれる人に心から感謝する。観客にも伝わったら幸い」と思いを語った。

 演劇には400人余が来場し、時折笑い声を上げながら終活演劇を楽しんだ。
 (川嵜紋通信員)