戦争証言を教材に 平和学習研 教員らプロセス学ぶ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
作成した沖縄戦の教材を見ながら意見交換する参加者=20日、西原町の琉球大学

 沖縄平和学習研究会は20日、沖縄戦の教材化ワークショップ「戦争証言から教材をつくってみよう」を琉球大で開催した。市町村史にある多数の証言を教材に落とし込むプロセスを学び、次世代の平和学習を模索するのが目的。現役教員や教育学部生ら約30人が参加した。

 題材に使用したのは北中城村史に収録された伊佐順子さんの証言。中城村仲順から一家8人で南部に避難した体験が時系列で記されている。道中、祖母、両親、弟2人が亡くなり、伊佐さんと妹は捕虜として捕らえられ、末の弟は行方知れずとなる。

 ワークショップ参加者は4、5人のグループに分かれ、伊佐さんの証言の中から大事だと思う部分を抜き出した上で、授業のテーマや子どもに考えてもらう問いを設定した。教材は模造紙にまとめ、ほかのグループに紹介して意見を交換した。

 伊佐さんの気持ちの変化から戦時中の人間性を考える内容にしたグループや、捕虜になることを恐れ逃げ続けた背景に住民の情報不足を指摘したグループなど、多様な視点の教材が仕上がった。

 参加した那覇市国場児童館の山﨑新館長は「一つの証言でいろいろな角度で学べると感じた」と話した。