とんかつデリバリーとテークアウト専門店のカツデリ(那覇市、照屋秀人社長)が6月1日、唐揚げのデリバリーとテークアウト専門店の「から匠(しょう)」を開店する。3月に県から「経営革新計画」の承認を受けており、新規事業展開で公的支援が受けられるため、今後ステーキと天ぷらの専門店立ち上げや2021年度をめどにした全国へのフランチャイズ展開を目指している。
カツデリは2008年創業で、とんかつを中心に事業を展開してきた。創業時に2千万円だった年商は、昨年度は6・5倍の1億3千万円に拡大し、アルバイトを含め従業員約60人を抱える。
さらなる売り上げ増を目指し、カツデリで「隠れ人気メニュー」だった唐揚げを生かした新たな店舗展開を考え、から匠の立ち上げを決めた。
から匠はカツデリの店内に併設し「1店舗多業態」の形態を取る。那覇市と浦添市、宜野湾市の全4店舗で同時に開始する。唐揚げは全国の有名店を食べ歩き、1年以上掛けて開発した。はやりを取り入れ「外はサクサク、中はジューシー」に仕上げ、自家製つけダレで食べる形にした。
1店舗多業態を目指したきっかけは、カツデリを一時は7店舗まで拡大したが運営がうまくいかなかったことだった。人手不足や経費がかさんだ関係で3店舗を閉じた。照屋社長は「やみくもに店舗数を増やすのではなく、1店舗当たりの売り上げを最大化することが先決だと判断した」と語る。
20年にはステーキと天ぷらの宅配、持ち帰りの店舗を立ち上げる予定で、試作を始めた。全国フランチャイズ展開に向け東証1部上場の経営コンサルティング会社と契約を結び、アドバイスを受けながら準備を進めている。
近年、共働き世帯の増加や核家族化の進行で、外で買った食事を自宅で食べる「中食」市場は拡大傾向にあるという。照屋社長は「宅配や持ち帰りは消費税増税後も軽減税率の対象となるため、客からの需要も見込める。フランチャイズ展開は成功するか分からないが、挑戦したい。夢は大きく掲げ、沖縄を代表する飲食ベンチャー企業を目指したい」と目標を語った。