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国境を越えた子の返還・面会交流の協議が沖縄県内でできる 米兵との国際結婚トラブルにも詳しい沖縄弁護士会が委託機関と協定

 国境を越えた子の連れ去りへの対応や離れた親との面会交流の扱いを定めた「ハーグ条約」に関し、裁判所を介することなく当事者が和解協議で解決する「裁判外紛争解決手続(ADR)」の協定を24日、沖縄弁護士会と大阪の公益社団法人民間総合調停センター(民調)が締結した。米国人との国際結婚に伴うトラブルなど、多くの米軍基地を抱える沖縄特有の事情に詳しい沖縄の弁護士らとともに、県内にいながら和解に向けた話し合いを進めることができ、手続きの迅速化や経済的、精神的な負担を軽減できる。


 ADRは、弁護士などが和解あっせん人として当事者間に入り、子どもの返還や親権、面会交流、養育費などの諸問題の解決を図る仕組み。国外にいる当事者はインターネット電話「スカイプ」で話し合いなどへの参加ができ、裁判よりも柔軟でより早い解決ができるとされている。

 外務省が委託する機関が国からの援助を受け、手続きを進めることができる。沖縄弁護士会は2014年に委託機関に認められたものの、体制の不備もあり入札資格を認められず、17年に委託を外された。現在の委託機関は民調のほか、東京、愛知、福岡の弁護士会など6団体のみで、これまで県内の当事者は最も近くても福岡を訪れなければならなかった。

 沖縄弁護士会によると、民調は国内の委託機関でADRの相談・成立件数が最も多く、そのノウハウを共有しながら、米軍人らとの国際結婚のトラブルなど、沖縄特有の実情に合った相談対応が拡充できるとしている。

 外務省によると、これまで国内で発生したハーグ条約事案で子の返還が確定、もしくは不確定が決まったのは128件。そのうちADRの利用は43件で、成立率は約3割に上る。

 協定式に参加した武田昌則弁護士(琉球大学法科大学院教授)は「沖縄で民調のノウハウを活用したADRができるのは画期的なことだ。国際的な面会交流の取り決めなどに活用してほしい」と語った。

 (新垣若菜)




【用語】ハーグ条約 国際結婚が破綻し、一方の親が無断で子どもを国外へ連れ去り、残された親が会えなくなる問題を解決するための条約。親権問題とは切り離し、加盟国は申し立てがあれば、いったん子を元の居住国に戻す義務を負う。16歳未満の子が対象。1980年にオランダのハーグ国際私法会議で採択され、83年に発効。日本は2014年4月加盟。