沖縄の空の玄関口、那覇空港。国内線の拡充はもとより、アジアを結ぶLCCの増加で利用者数は2017年に2千万人を超え、国内6位となっている。第2滑走路の運用開始を20年3月末に控え、さらなる利用者の増加が見込まれる。一方、空港周辺の道路は観光客の運転するレンタカーや物流業者の配送車、地元住民の車が連なり、混雑することも多い。
渋滞緩和を求める声は強い。15日まで沖縄を訪れていた東京都の男性(34)は「渋滞がひどいとネットで事前に知っていたが、予想以上だった。南部に向かう際に渋滞にはまったせいで初日の計画が崩れてしまった」と渋い顔を見せた。
渋滞緩和に期待が集まるのが、那覇空港自動車道の「小禄道路」の建設だ。那覇空港自動車道の豊見城・名嘉地インターチェンジ(IC)と那覇空港を結び、長さは約5・7キロ。瀬長交差点以北で国道331号と並走し、赤嶺交差点付近で地下トンネルに入る。14年に工事に着手し、331号周辺の工事を続けている。事業費は約620億円。沖縄総合事務局は開通時期について明らかにしていないが、23日に発表された資料では用地進ちょく率約94%、事業進ちょく率約54%と着実に進んでいる。
開通すれば那覇空港から豊見城・名嘉地ICまでの所要時間は現在の9~27分から4~7分程度に短縮され、沖縄自動車道までスムーズにつながることで、南部だけでなく中北部へのアクセスも向上する。空港まで定時につける可能性が上がることで各観光地での滞在時間が延びるなどの効果も見込まれる。豊見城市観光協会の担当者は「豊見城・名嘉地ICから空港向けは渋滞している。観光客が予想以上の渋滞でレンタカーの返却がぎりぎりになり、飛行機に乗り遅れたというケースを聞く」と話し、整備効果に期待を掛けた。
総合事務局の資料では、整備によって周辺道路を含めた損失時間は71%減少し、並行する国道331号の混雑度も31%減少すると試算される。那覇市域の外側環状道路がつながるため、那覇中心部を通過する車の割合も低減する見込みだ。
空港へのアクセス向上は物流にとっても大きな意味がある。沖縄西濃運輸宜野湾支店の伊佐英士運行課長は「県外からの貨物が午前11時ごろから相次いで到着し、1日に空港と物流センターを4往復くらいする。片道5分、10分でも短縮されればとても大きい」と話す。渋滞緩和で出勤時間が短縮され、働き方改革につながることも考えられる。小禄道路の開通は観光客にとどまらず、県内事業者にも多くの恩恵を与えそうだ。
(「熱島・沖縄経済」取材班・沖田有吾)
(琉球新報 2019年4月25日掲載)