那覇市から南風原町へのアクセスをスムーズにすることなどを目的に、国道329号南風原バイパスの整備が進められている。南風原町与那覇から那覇市上間までの2・8キロで、3月21日に側道の一部が開通した。南風原町は那覇空港自動車道の南風原北と南風原南の両インターチェンジ(IC)がある。南風原バイパスの活用で交通結節点としての機能が高まるほか、交通の利便性向上で地域の活性化につながると期待される。
南風原町の土地利用構想では、バイパスの起点となる同町与那覇など周辺地域を広域商業交流ゾーンに位置付ける。既存の施設を中心に、南風原北ICやバイパスなどを活用して商業施設の集積を目指す。バイパスの活用で那覇からのアクセスが容易になり、ICを使えば那覇空港自動車道への乗り換えも容易になることから、交通の要所にも位置付けられる。
同町の担当者は「(バイパス開通で)那覇から南風原へのアプローチが強化される。広域商業交流ゾーンには交通の利便性を生かせるような施設を整備して、多くの人が集まれる場所にしたい」と展望を描く。町内には新規産業集積を目指すエリアも設定しており、バイパス開通の効果を各所へ広げることも目標としている。
地元の観光関係者もバイパスの効果に注目している。南風原町観光協会で総括観光推進課長を務める大城翔太氏は「今までの南風原は、観光スポットが多い南城市へ行く際に通り抜けるだけの場所だった」と語る。バイパスの開通で那覇中心部からの移動がスムーズになれば、県内外の観光客が同町を訪れる機会も増える。大城氏は「南風原にはスポーツ施設も多くある。バイパスが完成したら利便性が高くなり、町内の施設を活用できるはずだ」と強調した。
新たな道路整備は交流人口の増加にもつながり、地元産業にとってプラスになるとの見方もある。南風原町商工会の金城学事務局長は「那覇から多くの人が訪れることで経済効果は高まる。人口も増えるはずで、地域が発展する」と見通す。既存道路の渋滞解消など環境が整えば、新規企業の呼び込みや雇用拡大につながる可能性もある。金城氏は「商業者にとってもバイパス開通はプラスになる」と感じている。南風原と那覇を結ぶ交通インフラは、観光や雇用などさまざまな分野へ好影響を与えそうだ。
(「熱島・沖縄経済」取材班・平安太一)
(琉球新報 2019年5月9日掲載)