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中南部結ぶ与那原バイパス 東海岸発展の要所に 新たな道路整備(6) 〈熱島・沖縄経済〉36


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 沖縄の東海岸を縦断する国道329号では、南風原町や金武町でバイパスの整備が進む。与那原町まで続く与那原バイパスの整備事業も始まっており、同町などで建設予定の大型MICE施設と一体となって、東海岸地域の発展につながるとの期待は高い。与那原町の関係者は「本島の西海岸は道路建設で発展している。これまで遅れていた印象が強い東海岸も、バイパス整備で変わるはず」と感じている。

 与那原バイパスは西原町小那覇から南風原町与那覇までを結ぶ4・2キロを整備する計画で、南風原バイパスと接続する。バイパスを利用すると那覇から短時間で大型MICE施設の周辺まで移動できると見られる。与那原町まちづくり課の饒平名幹貴課長は「現在は国道329号で渋滞が発生し、那覇から与那原までスムーズに移動できない」と指摘する。バイパス完成で渋滞が緩和すれば、人の移動が活発になり、大型MICE施設の完成後に多くのメリットが出てくると感じている。

 与那原町では大型MICE施設を観光振興の重点項目に位置付けている。バイパスの完成で経済効果が高まると指摘する意見もある。外国船が入港できる与那原マリーナなど、町内にはさまざまな観光コンテンツがあるが、地元の観光関係者は「観光地としての認知度は低い。素通りされるだけの街になっている」と明かす。臨海道路の開通で活性化する西海岸との格差を感じることもあるという。

大型MICE施設の建設が予定されているエリア=与那原町

 大型MICE施設の周辺にはホテルなどを誘致する予定で、バイパスの開通で那覇空港からのアクセスが容易になれば、多くの観光客が訪れる可能性がある。観光関係者は「大型MICE施設ができれば与那原の認知度が高まり、素通りしていた観光客も足を止めるはずだ」と考えている。

 大型MICE施設の完成に伴い宿泊施設や土産店、飲食店の誘致など地元経済にプラスの効果も予想される。与那原町商工会の喜屋武聡事務局長は「バイパスを活用すると物流もスムーズになる。与那原に行きたいと思っている観光客も足を運びやすくなるはずだ」と指摘する。

 与那原バイパスは整備予定地で遺跡が発見されたこともあり、調査などのため事業が遅れている。地元からは「早くバイパスを通してほしい」との声も上がる。東海岸の発展や活性化につなげるため、早期のバイパス開通を地元関係者は願っている。

(「熱島・沖縄経済」取材班・平安太一)

(琉球新報 2019年5月10日掲載)