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購入価格よりも高値で売れる中古マンション 不動産投資(3)〈熱島・沖縄経済〉39


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2010年に完成した那覇市旭町のフレスコア旭橋。立地や免震構造などが人気で、18年には発売時の価格を上回る高値で取引されたという=22日、那覇市旭町

 「高額買取!」「この物件をほしいという方がいます」―。那覇市の新都心地区のマンションに住む男性宅には、売却を呼び掛けるチラシが毎週のように投かんされる。「住むために購入したけれど、少し気持ちが揺らいでいるね」と苦笑いする。

 マンションは購入以降徐々に価値が下がっていくことがほとんどだった。しかし地価や建築単価の急激な上昇により、中古マンションが購入時以上の価格で売れるケースも増えている。

 人口増を受けた県内需要に加え、移住やセカンドライフ用、花粉症対策などでマンションを購入する県外の顧客も多く、立地や機能の充実した物件は中古でも強い需要がある。一方で、都心部の物件供給は必ずしも十分ではない。スケールメリットを生じさせるためには30~50戸ほどが理想とされるが、利便性の高い都心部ほどまとまった土地は出てきづらい。

 需要に対して新築の供給件数が不足していることに加え資材の値上がりや人件費増による建築単価の上昇も著しく、結果として品質に比べ割安感のある中古マンションの人気が高まっている。

 トレーニングジムやラウンジなどの共用施設を備えた、那覇市新都心地区の「リュークスタワー」の東棟最上階の1室は、今年に入り中古にもかかわらず1億円超で取引された。

 仲介した東急リゾートの担当者は「リュークスタワーがけん引する形で、築年数の浅い物件の相場は上がっているが、それでも取引は減っていない。沖縄エリアの物件に対する需要が増加していると感じる」と話す。高価格帯の物件になるほど、県外居住者の別荘利用目的の購入が増える傾向にあるという。

 那覇市旭橋のフレスコア旭橋は、県内初の免震構造マンションとして2010年に完成したが、当初の売れ行きは鈍く、11年の東日本大震災をきっかけに免震性への関心が高まったことで完売した。18年、数年間居住使用された1室が中古で売りに出され、購入価格を1千万円ほど上回る約5千万円で売れたという。

 開発した琉信ハウジングの兼村明常務は「地価と建築単価が上昇しているので、今同じマンションを同じ土地に造ったら7千万円くらいになるだろう。中心地では新築マンションの供給も限られている。機能と立地が良ければ、中古でも高額で取引されている」と話した。

(「熱島・沖縄経済」取材班・沖田有吾)

(琉球新報 2019年5月30日掲載)