〈9〉呼吸リハビリテーション 残った肺機能を最大活用


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 皆さん、「呼吸リハビリテーション」(以下「呼吸リハ」)をご存じでしょうか。千住らの東京都内の調査では「知っていた」がわずか7%、「聞いたことはある」を合わせても13%と少なかったそうです。

 慢性的な呼吸障害を持つ患者さんは、息切れして長く歩けない、入浴や着替えで息が苦しいなど、会話や日常生活にも支障を来すことがあります。薬物療法、酸素療法では完全に症状を取り除くことが難しい場合が少なくありません。

 活動性が低下すると食欲が落ち、体重が減って筋肉量の低下を招き、さらに息切れが悪化するという負のスパイラルが生じます。また、呼吸器症状は周囲の方にその障害の程度が理解されにくく、精神的に孤立することもあります。

 そこで必要となるのが「呼吸リハ」です。精神的なサポートと栄養指導を行いながら、残った肺機能を最大限に活用するために行います。口をすぼめて息を吐く口すぼめ呼吸、腹式呼吸など呼吸法の習得、痰(たん)を出しやすくする訓練、呼吸体操や運動療法のほか、着替え、入浴、歩行といった日常生活で楽に動く方法、急に息切れが起こったときに呼吸を整えるパニックコントロールという内容が含まれます。

 特にCOPD(肺気腫・慢性気管支炎)では、呼吸リハの有効性を示す報告が多くあります。脳梗塞、脳卒中の後にリハビリテーションが当たり前に行われているように、日本呼吸器学会のCOPDガイドラインでは、薬物療法に加えて呼吸リハを併用することを推奨しています。

 呼吸リハは(1)入院(2)安定期に外来通院(3)在宅―で行う方法があります。しかし外来で呼吸リハを行っている施設は県内ではまだ少ないのが現状です。

 通院が難しい場合は、ご自分で「歩く」こともリハビリの代わりになります。道具が必要なく、いつでも手軽にでき、慢性呼吸不全の患者さんにお勧めです。歩数計をつけて毎日、無理せず継続することが大切です。ぜひチャレンジしてみてください。
 (玉城仁、仲本病院 呼吸器内科)