「怖い」「いつ大事故につながるか」。県民の不安をよそに、事故を起こした米軍は一切謝罪せず、落下物は「人身や財産にも脅威を与えない」と開き直る。再発防止を求める声に米軍が耳を傾ける様子はなく、事故後も米軍機は飛行を強行した。浦西中の名護清和校長の抗議の声は同型機の音にかき消された。繰り返される事故に米軍への反感が広がる。
「許しがたい事故だ」。浦添市立浦西中学校のテニスコートに落下したゴム製部品が米海兵隊ヘリCH53Eの部品だったことが明らかになった5日夜、同中学校の名護清和校長(60)は怒りを込めてコメントを発表した。
その最中、落下事故を起こしたCH53Eヘリコプター2機が飛来し、声をかき消す。名護校長は上空を見上げることはせず、いらだった表情でさらに声を大きくして話し続けた。
「生徒の安心安全が最優先の学校で、落下物が米軍ヘリによるものと判明し、誠に遺憾であり、許しがたい事故だと考えている」「保護者、市教委と一緒になって、断固抗議していきたい」。名護校長は強い口調で落下事故を起こした米軍を批判した。
浦西中は生徒の安全確保のため、5、6日の2日間は屋外活動(体育の授業と清掃)を中止し、部活動中に米軍機が接近した場合は中断して待機させるなどの対応策を決めた。
具体的には(1)5、6日の2日間は屋外活動を中止する(2)部活動は顧問が付いて実施し、米軍ヘリが接近した場合はその場で中断して待機させ、落下物があるなど緊急事態が発生したら屋内施設に避難させる(3)来週以降、当面の間は授業、清掃、部活で同様の対応を取る(4)7日夜に保護者向けの説明会を開く(5)落下物周辺にいた生徒に、スクールカウンセラーによるカウンセリングを実施する―などの対策となる。
「部活動をしている生徒の近くに落下した事実を、学校は大変重く受け止めている」と強調した名護校長。「生徒の精神的なケアを第一に考えた」対策によって、米軍ヘリの部品落下事故で揺れる教育環境の立て直しを図る考えを示した。