沖縄の空の玄関口となる那覇空港で9日早朝、約1時間半にわたる停電で空港機能が停止。国内、国際線で少なくとも24便に欠航や遅延の影響が出た。国土交通省によると災害以外の長時間の停電は全国でも例がないという。ターミナルビルで使われた電気量が変圧器の設定を超えたことでブレーカーが落ちたとみられ、空港ビル管理者の電気使用の想定の甘さなど危うさを露呈した。
停電が起きたのは午前6時56分。ターミナルでは航空各社のチェックインシステムなどの主要機能をはじめ、エスカレーターやトイレの洗浄までが止まった。空港の機能停止は沖縄本島への人の出入りが止まる事態となるだけに、観光関係者は「日曜の朝だったのが不幸中の幸いだ。日中に起きたら大事態だった」と再発防止の徹底を求めた。
■不幸中の幸い
空港ビルを管理運営する那覇空港ビルディング(NABCO)は、停電の詳しい理由は「調査中」としながらも、担当者は「連結ターミナルを設計した際に想定していた電気使用量を超えた」と説明した。
ターミナル2階の土産品店は午前7時に営業開始する店が多く、午前6時には一斉に空調が作動する。開店に向けて電気の使用が高まった際に変圧器の処理能力を超え、電気の供給を自動で遮断させるブレーカーが落ちたとみられる。
国内線エリアには電力会社からの送電が止まった時に作動する非常用発電機を備えているが、送電は正常だったため稼働しなかった。約1時間半で復旧したものの飛行機の遅延は9日午後まで及び、日本トランスオーシャン航空(JTA)の担当者は「客に迷惑がかかってしまった」と困惑気味に語った。
■設定変更で対応
観光客の増加による那覇空港の混雑や、国内線ビルと国際線ビルが離れているという不便さに対応するため、大規模な連結工事で国内・国際両ターミナルを一体につないだ新しい旅客ターミナルが、今年3月に完成、開業したばかり。
国際線のチェックインカウンターが3倍の60ブースとなり、貨物ビルにあったLCCチェックインカウンターも移転。飲食店や土産品店など36店が新たに出店した。空港利用者の増加に対応するための機能強化だが、電力供給の想定を見誤って混乱を招いた格好だ。
NABCOは今後の対応策として、3台あるうちの1台の変圧器の設定を変更し、電力の許容量を拡大した。今後、残りの2台の変更も検討するという。
年々空港利用者が増え、2020年3月には第2滑走路の供用も予定される中、施設管理の強化が求められる。
沖縄観光コンベンションビューローの平良朝敬会長は、「管理を徹底して、想定外が起きた時のバックアップ体制を整える」と述べた。
(中村優希)