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目指すは女子競輪選手 男子高校生と練習重ねる女子中学生 成長のペダル

プロ競輪選手の夢を追い、練習に励む金武中学校1年生の近田ちひろ=8日、県総合運動公園自転車競技場(田中芳撮影)

 沖縄県総合運動公園の自転車競技場。練習を重ねる名門・北中城高の男子部員に交ざり、ペダルを高速で回すひときわ小柄な選手がいる。県内では数少ない女子の自転車競技者、金武中1年の近田ちひろ(12)だ。昨年の国内最高峰ロードレース「ツール・ド・おきなわ」で小学生の部(男女混合10キロ)の大会最速記録をたたき出すなど、めきめきと力を付ける。「将来はレディースの競輪選手になり、五輪に出場したい」。高い向上心が大きな夢への原動力となっている。 (長嶺真輝)

■悔しさから出発

 3歳の時に小児ぜん息を発症した。心配した父・洋幸さん(50)が趣味の自転車で娘に体力を付けてもらおうと、県総合運動公園などで、よく一緒に自転車をこいだ。するとどんどんのめり込み、嘉芸小1年の頃には一日で50キロの距離を走るほどの自転車好きに。同じ時期に、ぜん息も治った。

 初めてレースに出場したのは小学2年の時の屋我地サイクルロードレース大会。洋幸さんが誘い、小学校入学前の選手も出る500メートル部門に出た。しかし結果は4位。「幼稚園児にも負けて、悔しかった」


練習後に笑顔を見せる近田ちひろ(左)と父親の洋幸さん

 この日を境に「趣味」が親子二人三脚の「練習」に変わり、同じ距離を走る際もより速度を意識するようになった。1年後の県民体育大会。小学3年で出た低学年の部(1・8キロ)で大会初優勝を飾り「勝つのが楽しくなった」と勝負の醍醐味(だいごみ)を知った。ツール・ド・おきなわは、小学生の部で4年時に16位、5年時は8位と順位を上げ、6年時に女子として同部門初の優勝をつかみ取った。

■指導者も太鼓判

 小学4年の時から続ける北中城高校との合同練習が、成長の糧だ。同6年からは男子部員と同じメニューをこなし、全力でスプリントする「もがき」では新入部員の高校生を抜くこともある。平日も金曜日を除き、連日100キロ以上のロードや筋トレ、水泳など技術や体力面を徹底的に鍛える。

 北中城高校で外部コーチを務め、近田の練習メニューを組む元プロ競輪選手の津留﨑由文さん(59)は「今はどれだけスムーズに足を回せるかなど、基本の練習を重点的にしている。高校生と同じ練習をして体力も付いてきた。今から目指せば、もちろんプロにもなれる」と太鼓判を押す。

 「スピードに乗ってからさらに伸びるようになってきた」と、近田自身も成長を実感する。最近は坂道練習を重点的に行い、ロードでも「坂を座ったまま登れるようになり、足を残せるようになってきた」という。

 中学生になり初の大会となる今月30日の屋我地サイクルロードレースでは、昨年3位だったレディース部門(10・4キロ)で「優勝したい」と意気込む。中学、高校で男子と対等に競える力を身に付け、高校卒業後は「競輪選手の養成所に入りたい」と将来を見据え、一歩ずつ階段を上る。