沖縄戦体験者に教員がインタビュー 沖縄・名護小での平和学習


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大嶺結子教諭(左)の質問に答える形で、沖縄戦体験を証言した具志堅誓謹さん=18日、名護市立名護小学校

 【名護】沖縄県名護市立名護小学校は18日、4~6年生約360人を対象とした平和教育の授業を同校体育館で実施し、沖縄戦体験者の具志堅誓謹(せいきん)さん(86)=名護市大中=を招いた。体験者が講話する従来の形式ではなく、教員がインタビューする形式に取り組んだ。限られた時間内で戦争体験を分かりやすく伝えることが狙い。授業後、担当教員らは「子どもたちに伝わった。高学年には続けていきたい」と手応えを感じていた。

 授業は、2年担任の大嶺結子教諭と具志堅さんが児童らに囲まれるように並んで座った。大嶺教諭からの質問に答える形で、具志堅さんが沖縄戦で山中を逃げ回ったり、食料不足に苦しんだり、家族を亡くしたりしたことなどを証言した。沖縄戦での組織的戦闘が終わった後も拾った手りゅう弾が爆発し、友人が大けがをした体験も伝えた。

 具志堅さんの証言後、大嶺教諭は「今もニュースで聞くが、戦後も不発弾で亡くなる人がいた」「雨が多いこの時期、じめじめとした山中で隠れて暮らすという生活を想像してほしい」と児童らに投げ掛けた。

 児童代表で6年の座間味遼大(はるひ)さん(11)は「祖父の祖父は戦争で亡くなったと聞いた。生き残った家族がいたから、僕は今ここにいる。戦争体験者は少なくなってくるが、話を聞いたり、調べ学習をしたりして、戦争の恐ろしさと平和の尊さを伝えていきたい」と感謝した。

 教員によるインタビュー形式の平和学習は市教育委員会で市史編さんに取り組む川満彰さん(59)が提案した。授業を見学した川満さんは「先生たちが子どもたちが聞きたいことや子どもたちに伝えたいことを踏まえて質問していて良かった」と語った。