2016年の米軍属による女性殺害事件を受けて始まった沖縄・地域安全パトロール隊事業に関し、深夜の巡回業務を担っている南日本警備保障の元従業員たちは20日までに琉球新報の取材に応じた。3月まで契約社員だった男性は事実と異なる日報の記載や“実績稼ぎ”のため路上寝を探していた業務の実態を明かし「事件の遺族に申し訳なく、罪悪感がある」と吐露した。
隊員として働いていた男性は「本来は学校周辺や住宅地を回って犯罪を抑止する仕事なのに、路上寝の件数を稼ぐために(飲食店の多い)国際通りや栄町を何度も通るような人もいた」と明かす。社側は「路上寝を発見することだけを推奨していた訳ではない」と否定するが、複数の従業員によると通報件数の多かった従業員には社長賞が贈られたという。男性は会社の在り方に嫌気が差し、3月末で退職した。
別の元従業員の男性は「総合事務局は会社に丸投げし、社は従業員を管理していない。正社員が現場に出てくることはほぼない」と説明。「事件が発端となって税金を使った事業なのに、違法なことをした会社をもうからせるだけの結果になっていいのか。事件の被害者や遺族に対しての罪悪感が一生残る」と胸の内を明かした。
沖縄総合事務局に情報提供した男性は「自分たちで労働基準監督署に行くよう言われた。告発者に対してそう言うのはおかしい。国の姿勢としてそれでいいのか」と首をかしげる。別の元従業員は「本来はいい事業で、皆やる気を持ってこの職に就いたはずなのに」とため息をついた。