【東京】自民党本部は21日までに、同党所属の国会議員に対し、運営元不詳のインターネットメディアが野党の姿勢をやゆしたり沖縄メディアを批判したりする文章をまとめた冊子を配布した。参院選対策として配布したとみられる。昨年の沖縄県知事選などを巡り沖縄の地元紙にも「偏向」と矛先が向けられている。
冊子の名前は「フェイク情報が蝕(むしば)むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識」。冊子では、普天間飛行場移設を巡る地元紙の書きぶりについて「移設を『新基地建設』などと書く偏向ぶり。こうした姿勢が沖縄を前進させない隘路(あいろ)となる」と記載している。
冊子を編集・発行した「テラスプレス」は「報道で語られていない事実を皆様に伝える」とうたうニュース情報サイトだがサイト上には問い合わせ先や運営主体の記載はない。ホームページ名を検索サイトで調べても結果に表示されない設定になっている。
自民党本部は、その文章を「他の大手新聞の社説やコラムのように説得力のある内容である」として「参考資料」として配布したと説明しているが、出元不明の情報提供の在り方に疑問の声が上がりそうだ。
自民党本部は本紙の取材に「テラスプレスは1年ほど前から、広く一般にネット上で閲覧されており、その時々の時局テーマについて分かりやすく具体的に数字を示して解説し、他の大手新聞の社説やコラムのように説得力のある内容であることから、通常の政治活動の一環で参考資料として配布した。運営等には関与していない」と答えた。
本紙が「冊子の内容は党の考えか」「参院選でどう活用を想定しているのか」と質問したが直接答えなかった。