くらし
ドクターのゆんたくひんたく

〈11〉不安との付き合い方 受け入れが治癒促進

 人は症状がなくても、病気の知識を持つと「病気ではないか」と恐れ、症状があると「病気に違いない」と不安が募ります。病気の診断が付くと「治らないかも」「死ぬかもしれない」と不安は増大します。重篤な病気だと、もっと強い不安を抱くことになります。

 ネガティブ(否定的)な気持ちが続くと、さらに「あれが悪かった」と後悔し「何で自分が」と怒り「もう手遅れだ」と悲観し「すべてが終わりだ」と絶望したりします。そんな混乱状態では情緒不安定の上に、食欲不振、下痢、倦怠(けんたい)感など多くの身体症状も伴います。

 このように不安は、病気の苦痛以外にも多くの精神身体症状を引き起こします。それでも「苦痛から逃れられない」と諦める頃から気持ちが落ち着き、心が病気を受け入れると、身体も治療を受け入れるようになるものです。医師による説明や治療、看護師や他のスタッフによるサポートが助けになります。

 不安は恐れているものを避ける気持ちで、受容は不快な状況への抵抗をやめて理解しようとすることです。不安から受容への切り替えが治癒のプロセスを促進させます。ネガティブな気持ちは治癒プロセスのブレーキとなり、ポジティブ(肯定的・前向き)な気持ちはアクセルとして作用します。

 けれど不安を持つことは必ずしも悪いことではありません。不安により健康意識が生まれ、医療を求める行動を引き起こすので、問題に対して早めに手が打てるメリットがあります。病気に伴う不安は死につながる不安なので、人の意識を自分の心や身体、家族や人生に真剣に向き合わせてくれる作用もあります。

 不安というネガティブな気持ちが有益に働くには、ポジティブな気持ちも同時に持つことが大切です。ポジティブな気持ちとは、人をリラックスさせ、創造的、意欲的な気持ちにし、愛やつながりを求める心の動きです。安心、喜び、楽しみ、興味・関心、感動、愛情、希望などの言葉でも表される概念です。不安な時にこそ必要ですね。
 (長田清、長田クリニック心療内科・精神科)



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