ハンセン病家族訴訟 国に賠償を命じる 熊本地裁


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国の賠償を認める判決を喜ぶ関係者=28日、熊本地裁

 【熊本で安富智希】国が長年続けたハンセン病強制隔離政策で、患者本人だけでなくその家族も深刻な偏見・差別を受けたとして、元患者の家族で県内在住の約240人を含む561人が国に謝罪と損害賠償を求めた訴訟の判決で、熊本地裁は28日午後2時、家族が受けた偏見差別の被害も隔離政策などにあったとして国の責任を認め、賠償を命じた。元患者の家族がおこした集団訴訟では初めての判決。

 原告の家族側は国の強制隔離政策がハンセン病を恐ろしい伝染病と広め、国民に恐怖心を植え付けと指摘した。政策が元患者だけではなく、患者予備軍としてその家族も標的としたなどと主張し、国の謝罪と賠償を求めた。

 国は強制隔離は患者を対象にした政策で「家族を対象にした政策ではない」と反論し、国の法的責任はないと主張した。

 家族らは2016年2月に提訴し、訴訟は18年12月に結審した。国の隔離政策を巡っては、元患者本人の訴訟で熊本地裁が01年に違憲と判断した。【琉球新報電子版】