辺野古進捗わずか2・8% 沖縄県が埋め立て土砂から試算


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 沖縄県議会6月定例会は1日、一般質問3日目が行われ、予定されていた中立会派と与党計6人と沖縄・自民の1人が緊急質問した。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の埋め立て工事の進捗(しんちょく)について上原国定土木建築部長は、沖縄防衛局に照会した埋め立て土砂量から試算したところ、今年5月末時点で事業全体の約2・8%程度という推定を示した。赤嶺昇氏(おきなわ)への答弁。

 日米地位協定の見直しに向けた機運の高まりについて池田竹州知事公室長は、全国都道府県議会議長会などの話として、日米地位協定の見直しを求める趣旨の意見書が県外において少なくとも7道県、61市町村議会で可決されたことを明らかにした。瀬長美佐雄(共産)への答弁。

 辺野古新基地建設問題の国民的議論につなげる機運醸成を図るシンポジウム「全国キャラバン」に関連し、赤嶺氏(おきなわ)が辺野古移設推進派や移設に賛成する新聞も含め各紙の論説委員を呼んで議論してはどうかとの提起に対し、玉城デニー知事は「そのような提言も含めていろいろな提言をしていきたい」と意欲を示した。

■辺野古埋め立て難航 大部分を占める大浦湾区域は着工できず 軟弱地盤で大規模地盤改良が必要

埋め立て区域を区切る護岸と、立ち並ぶ大型クレーン=1日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸

 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で沖縄防衛局は1日、本部港塩川地区と名護市安和の琉球セメント桟橋から土砂を搬出した。辺野古移設を巡っては沖縄防衛局が米軍キャンプ・シュワブ内の代替施設建設予定地にあった施設の解体工事に着手してから1日で5年が経過した。

 沖縄防衛局は事業着手から5年以内に埋め立て工事を完了することを前提に当初、工程表を作成したが、埋め立て予定地の4分の3を占める大浦湾側の区域は着工していない。同区域は軟弱地盤の問題が浮上したことで大規模な地盤改良工事を必要とし、完成時期や総工費は不透明のままだ。

 防衛局は1日、大浦湾側にある「K9」護岸から土砂を搬入。基地建設に反対する市民らは海上に出て抗議の声を上げたほか、キャンプ・シュワブのゲート前で約30人が抗議行動を展開した。工事関係車両142台が資材を搬入した。

 本部港塩川地区では午後1時ごろから土砂が搬出された。南側の岸壁に接岸した台船に大型車が次々と乗り入れ、荷台に積んだ土砂を降ろした。同5時ごろまでに大型車165台分の土砂を積み込んだ。名護市安和の琉球セメント桟橋からも土砂が搬出され運搬船4隻に積み込んだ。

 防衛局によると、昨年12月に先行して土砂投入を始めた辺野古側区域の面積は全体の約4%で、投入した土砂量は5月末現在で約6割にとどまる。3月に着手した区域の面積は全体の約21%で、土砂の投入量は少量だという。

 県は2018年8月に埋め立て承認を撤回したが、国土交通省は防衛局の要請に応じる形で今年4月に県の撤回を取り消すことを決めた。県は国地方係争処理委員会に不服を申し立てたが却下されたため、国交相の裁決を取り消す訴訟を7月中に提起する予定。