【ボリビア】集いの場 愛され15年 熱田さん 唯一のカラオケ経営


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オキナワ移住地でカラオケ店を営む熱田マキさん(中央)、娘仁奈さん(左)、息子ルイジくん(右)

 ボリビアのオキナワ第1移住地に唯一あるカラオケ店。地域から愛され続けている店の店主は熱田マキさん(45)だ。2004年頃から始め、15年間営業を続けている。

 マキさんは父が伊江島系、母は恩納村系の4女としてオキナワ第2移住地で生まれた。19歳の時、千葉県の電化製品会社に出稼ぎに行き、2年後にボリビアへ帰国し、看護師となった。22歳に結婚・出産を経て、26歳で横浜市に出稼ぎへ。その4年後にボリビアへ帰り、カラオケ店の経営に携わるようになった。

 カラオケ店は、オキナワ移住地内の子どもからお年寄りまで老若男女が訪れる。お年寄りは沖縄民謡を歌い、故郷を懐かしんでいる。子どもたちの誕生日会が開かれることもある。月に数回カラオケ愛好会もあり、愛好者らが楽しんでいる。また、沖縄からのお客さんや旅人が訪れる集いの場にもなっている。

 娘の仁奈さん(24)と諒菜さん(20)と一緒に、親子で店に立つこともある。

 マキさんはカラオケ店を営む中で記憶に残っている言葉があるという。

 「一世で山城保徳さんという当時85歳のおじいさんがいた。『月に1回、ここのカラオケに来るのが僕の楽しみ。このカラオケ店をなくさないでね。頑張ってね。このカラオケ店を閉めたら、僕の楽しみがなくなって生きがいがなくなる』と言ってくれた」という。この時、マキさんは「うれしかった。頑張ろう」と思ったそうだ。

 山城さんは88歳で数年前に他界したが、この言葉が今も励みとなっている。

 マキさんは「お客さんのありがとうが1日頑張っていてうれしい言葉」と話し、今後も「いろいろな人たちが集まる場となるようにしていきたい」と語った。

 (安里玉元三奈美通信員)