「一安心」「ありがたい」 沖縄関係原告 判決確定を歓迎するも国に謝罪を要求 【ハンセン病家族訴訟控訴断念】


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 ハンセン病家族訴訟で国の責任を認めた熊本地裁判決に対し国が控訴断念を決めたことに、県内在住や出身原告らは「一安心した」「ありがたく受け止めたい」と歓迎した。

 その上で「国はきちんと謝罪し、偏見差別を社会からなくす責任も果たしてほしい」と求めた。

 母親がハンセン病患者だった東村出身の宮城賢蔵さん(71)は朝、テレビのニュースにくぎ付けになった。「控訴断念」の報道にうれしさで胸がいっぱいになった。子どもの頃に受けた偏見や差別を振り返り「つらい思いを隠して生きてきた」と語った。差別した側も「ある意味で被害者だった」と指摘し「国の間違った政策で偏見差別に苦しむ境遇に置かれた。国は謝罪を含め被害の回復を図る措置を早急に取るべきだ」と訴えた。

 患者本人が訴え、国の強制隔離政策を違憲と認定した2001年の熊本地裁判決から18年。元患者と同様に偏見差別に苦しんできた家族の被害に国が向き合ったことに、両親が元患者の60代男性は「ようやくここまで来た」とほほ笑んだ。「ただすぐに良くなるわけではない。国は主体的に啓発活動に取り組んでほしい。沖縄はまだまだ被害者が多い。救済してほしい」と求めた。

 宮古島出身の60代女性=大阪府=は「満足している。賠償額には残念な点もあるが国が理解してくれたことはありがたい。次は国民も理解する対策を取るようにしてほしい」と話した。