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セブンは店舗展開で地元企業とタッグ ネットワークや地の利を生かす狙い 一方「もろ刃の剣」との指摘も 不採算なら撤退の可能性も コンビニ激闘時代(2)〈熱島・沖縄経済〉51


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沖縄ツーリストの本店1階に開業するセブン―イレブンの店舗=8日、那覇市松尾

 今年2月、糸満市に開業するセブン―イレブン店舗の地鎮祭で、同店舗を運営する金秀グループの呉屋守将会長と、セブン―イレブン沖縄の久鍋研二社長がそろって取材に応じた。呉屋会長は「(金秀の)スーパーとコンビニの相乗効果が出るはず」と期待を込めた。久鍋社長は「金秀が築いたネットワークに協力してもらえる」と感謝し、県内での事業展開に意欲を示した。

 県内での店舗拡大に向けて、セブンは金秀や沖縄ツーリスト(OTS)、りゅうせきなどの県内大手企業とフランチャイズ(FC)契約を結んだ。3社ともに県内で長年の業務実績があり、幅広い人脈とネットワークを有する。出店場所を選定する際にセブンのみで交渉を行うよりも、沖縄に浸透した企業が間に入ることで交渉がスムーズに進むと考えられる。

 県内の小売業界に詳しい経済関係者は「バックボーンのしっかりした県内企業と組んだセブンの戦略は正しい。各社はそれぞれ強みがあり、セブン単独でやるよりもプラスの効果は大きい」と見る。

 FC契約を結ぶ県内企業も、セブンのブランドでコンビニ事業を展開することにメリットを感じている。りゅうせきはガソリンスタンド併設のセブン店舗を北谷町北前に開業する。低燃費車や電気自動車の普及でガソリンスタンド事業の縮小が懸念される中、コンビニ事業に将来性を見いだした。りゅうせきの尚諭専務は「ガソリンスタンドとコンビニの併設でそれぞれに誘客ができる。一つの店舗で二つの事業ができるので人件費も削減できる」と効果を期待する。

 OTSは国際通り沿いにある本店(那覇市松尾)の1階をセブン店舗にする。インターネット予約の普及で旅行会社カウンターへの来客数が減り、国際通りの一等地に位置する本店の活用法を模索していた。OTSの平良健社長は「沖縄を訪れる外国人観光客をターゲットにしながらコンビニの事業にチャレンジしたい」と力を込める。

 一方、セブンが県内企業とFC契約で事業展開することが「もろ刃の剣」になるとの見方もある。県内の小売関係者は「コンビニ主体でやっているオーナー経営者と、経営多角化の一環でFC契約に乗り出した企業では事業への熱量に差がある」と指摘する。

 FC契約で店舗展開する企業は、事業が順調に進めば規模拡大など出店に積極的になる。しかし、採算が合わなければコンビニ事業からの撤退や規模縮小の可能性もあるという。同関係者は「(FC契約を結ぶ企業の)経営者や株主の判断も絡み合ってくるはず」と指摘した。

 セブンは5年で250店舗の出店を掲げる。目標の実現に向け地元企業の支援を受けながら前進する。5年後に思い描いた出店を実現できるか、多くの関係者が注目している。

(「熱島・沖縄経済」取材班・平安太一)

(琉球新報 2019年7月10日掲載)