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「戦々恐々している」 苦悩深める既存店オーナー 本部にセブン対策訴える 密集地・国際通りでのシェアが試金石に コンビニ激闘時代(3) 〈熱島・沖縄経済〉52


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
沖縄ツーリストの本店1階に開業するセブン―イレブンの店舗=8日、那覇市松尾

 「セブンが沖縄に来るのに、本部の支援が弱い」。県内でコンビニを経営するオーナーが嘆いた。セブン―イレブンの県内開業が近づくある日、本部から「近隣にチラシの投げ込みをしないか」と呼び掛けがあり、何人かのオーナーで販促のチラシをポストに入れて回った。同オーナーは「客を少しでも逃さないための取り組みだが、もっと計画的な支援をしてほしい」とこぼした。

 セブン―イレブンは11日、本島中南部で14店舗、うち那覇市内に7店舗を一斉に開店する。セブンの沖縄進出が迫り、ファミリーマートやローソンの既存店舗のオーナーには不安が渦巻いており、セブンの動向を気にする声が高まっているという。

 ある本部関係者は「オーナーから『自分の店の近くにもセブンが来るのか』『どういう対応をすればいいのか』という相談が増えている」と明かす。

 この関係者によると、初回の14店舗に次ぐ第2弾の出店がどこかについて、取引先などを通じて情報収集したり、セブンが後発のコンビニとして入ってきた他県の状況を確認したりして、対策を練っている。セブンの商品製造工場の規模を確認し、生産体制や採算ラインの見当を付けた上で、出店数がどの程度になるかを計算するなど分析しているという。

 「正直、セブンは後発でも強いのが実情で、後から来ても一定のシェアを取っている。オーナーの不安も分かるが、絶対的に有効な対策はない」と唇をかむ。売れ筋商品のリニューアルや普段より強めのキャンペーンを実施するなど、地道な取り組みを積み重ねるしかないと言い「みんなが戦々恐々している状態だ」と表情を硬くした。

 那覇市内でもコンビニの密集度が高い地域の一つが国際通りだ。現状でファミリーマートが5店舗、ローソンが5店舗あり、11日にはセブン―イレブンが2店舗開業する。県民だけでなく多くの観光客が訪れる国際通りのコンビニ勢力図がどう変化するかは、セブン―イレブンが県内シェア拡大を図る上で一つの試金石になる可能性もある。

 帝国データバンク沖縄支店の水城利治支店長は「セブンが250店舗の出店を進めるとなると、競争の激しさは増す」と指摘する。

 ローソン、ファミリーマートは客の分散により日販(各店舗の1日の売上高)が減るため、今までのような運営はできなくなるとして「人手不足で人材の奪い合いになり、人件費も上昇する。コンビニオーナーにとっては厳しい時代になる」と分析した。

 ついにセブン―イレブンの開業日が訪れた。経営上の不安を抱える中、抜本的な対策も見えないまま、コンビニオーナーたちの苦悩は深まっている。

(「熱島・沖縄経済」取材班・外間愛也、石井恵理菜)

(琉球新報 2019年7月11日掲載)