【島人の目】多様性のリッチモンド


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 米バージニア州リッチモンド市の1930年代から続く商店街「キャリータウン」は、ブティックにアンティークの店、エスニック料理店など230店が軒を連ねる。1928年建築の街のランドマークである映画館や美術館もあり地元の人々に愛される街だ。

 6月29日、この街でLGBTQのフェスティバルが行われた。通りには、LGBTQ象徴のレインボーの旗や風船などが飾られ、露店にはレインボーグッズが並んだ。映画館の屋根には、星条旗と大きなレインボーフラッグが風になびいていた。

 パレードが始まった。300人近い参加者は、虹色の旗を片手に歩道を練り歩く。シュプレヒコールをするでもなく、プラカードを掲げることもなく穏やかなミニパレードだった。街全体が彼らの行進を見守っているかにみえた。

 リッチモンドのLGBTQの組織は、「Diversity Richmond」(多様性のリッチモンド)の名称で呼ばれている。

 キャリータウン加盟店協会は「多様性のリッチモンド」主催のイベント実施を直接投票で採択し、通りの飾り付けから寄付集めなどにも協力的だったとのこと。

 LGBTQの人たちは、偏見や差別を感じないこの街を「Carytown belongs to all of us and we belong to Carytown(キャリータウンは私たちみんなの街、そして私たちはこの街の一員)」と公言する。

 くしくもキャリータウンの長さは、那覇市の国際通りと同じ1マイル(約1・6キロ)だそう。

 国際通りがキャリータウン同様、プライド月間の際に沿道にたくさんのレインボーフラッグをなびかせるようになったら、国際通りはさらに人にやさしい魅力ある街になるのではと思った。

 (鈴木多美子、バージニア通信員)